愛54 ページ4
カチャン。
もう慣れたもので流れるような動作で足枷を外す。
ここ1週間、ずっと屋敷の中を回っているが広すぎてなかなか覚えられない。
それに証拠を残さないように慎重に行くため時間がかかる。
最初にピッキングをした時、盗聴と盗撮を疑ったがそれらしきものはなく今もこうしてピッキングを続けている。
だが正直、いつばれるか不安だ。
明日。
明日で終わりにしよう。
_______________
カチャン、と足枷を外しほっとため息を零す。
杏「なるほど！安全ピンでもピッキングが出来るのか！」
一瞬、心臓が止まった気がした。
いつの間にか杏寿郎は私の右肩から顔を出して興味深そうに覗き込んでいた。
襖に背を向けていたのが運の尽きだった。
逃げようとしたが腕を掴まれ身動きが取れなくなる。
杏「それで、足枷を外してどこに行こうとしたんだ？」
耳元で囁かれ背中が栗立つ。
腕を掴む手に力が入り骨が軋む。
床に押し倒され、無理矢理目を合わせられる。
杏「もう一度聞く。どこに行こうとした？」
『や、屋敷の中を、見て回ろうと、』
杏「そうか、それもそうだな！あまり屋敷の中を連れ回したことは無かったからな！」
さっきの様子とは打って変わっていつものように笑っている。
これは何度も足枷を外している事はばれていないのでは？と少しほっとする。
が、杏寿郎は私の上に座り逃げられないように体重を掛けると腕を拘束するのをやめて、携帯を取り出した。
そのまま画面を何度かスライドして私に向ける。
それは動画で、私が足枷を外しているところだった。
それから私がいろんな部屋に入っているもの、庭に出て通路を確認しているものなど。
この時点で私はもう泣いていて、小さな声で何度も謝っていた。
杏「今はかなり小さいカメラでも綺麗に撮れて凄いな！」
探しても見つからなかっただろう？と私の涙を指で掬いながら満面の笑みで言われる。
杏「さて。」
機械的な音と共に杏寿郎がこちらに携帯を向ける。
録画を始めた音だ。
杏「逃げようとしたんだ。もっと足枷を付けないとな。前は出来なかったが、今度は出来るといいな。」
────俺達の子供が。
私の悲鳴は杏寿郎によって飲み込まれてしまった。
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椿(プロフ) - 明日香さん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けたようで何よりです！！読んで下さりありがとうございます！！！ (2020年11月21日 12時) (
レス) id: cae380dc3e (このIDを非表示/違反報告)
明日香 - 清々しい位病んでますね！ちょっと胸焼けするレベルです（褒めてます）クセになりそう(笑) (2020年11月21日 10時) (レス) id: 46e9541218 (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - 未来さん» コメントありがとうございます！そこまで楽しんでいただけるなんて嬉しすぎて泣きそうです！読んで下さりありがとうございます！！！これからも頑張ります！！！ (2020年3月20日 13時) (レス) id: cae380dc3e (このIDを非表示/違反報告)
未来(プロフ) - 最高すぎました...。感情移入してしまい泣いちゃいました笑笑 これからも頑張ってください！！ (2020年3月19日 21時) (レス) id: bf9c6449c6 (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - みぃさん» コメントありがとうございます！絵、上手いですよね！！読んで下さりありがとうございます！！！ (2020年3月19日 17時) (レス) id: cae380dc3e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：椿
x他1人 | 作成日時：2019年11月10日 23時
