煉獄杏寿郎の歪んだ愛 弐

愛55 ページ5

杏寿郎side





動画を切るとピロン、と携帯が鳴る。






杏「この動画は大切に取っておくとしよう。」






そう言いながらAの傷痕をなぞる。





杏「泣きながら善がる姿は可愛かったぞ。まぁ、いつも可愛らしいが。」





そう言うとAはまた泣き出した。


さすがにここまで泣き続けられると困ってしまう。


Aの横に寝転び、抱き締めてAの髪に鼻を埋める。


すん、と嗅ぐとAの匂いがして愛しさが込み上げてくる。






杏「あぁ、A。A。好きだ。愛してる。ずっと一緒にいよう。俺だけのA。」






今まで人目があって言えなかった事を思う存分言葉にする。







これで孕んでくれればAはもう俺から逃げられない。




宇髄達が何か動いているみたいだが、大丈夫だろう。




もし、またAを取られそうになったら心中すればいい。




そうしたらまた来世、Aを探し出して一緒に暮らすんだ。









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産屋敷side



前世では、杏寿郎はよく頑張ってくれたと思う。



杏寿郎が妻とともに鬼に喰われたと聞いた時は心の底から無惨を恨んだ。





今世でもまた会うことができて嬉しかった。



だから杏寿郎が学校だけではなく教師も辞めたいと聞いた時驚いた。





”もう疲れてしまったんです。”






そう杏寿郎は言っていた。



その時は父が刺され、妹が誘拐され精神が参っているのだろう思った。



でも本当は自分を偽るのが疲れた、という意味だったのではないかと思う。






ごめんね、杏寿郎。



力になってあげる事が出来なかった。




きっと、君が幸せになれるように頑張るから、そっち側に心まで堕ちないでくれ。

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