セクゾ兄弟はお医者さん３

交通事故 ページ18

健人side



意識が回復した後、すぐにICUを退室した俺は、一般病棟の個室に移動になった
職員だから減免だとかでやたら広い特別個室に入れてもらって、なんだか申し訳なさで居心地が悪い

勝利は手術の後からほとんど寝ずに付き添ってくれていたようで、先程風磨が無理矢理家に帰しに行ってくれた。聡とマリウスも少しだけ顔を見せに来てくれたが少し前に帰って行ったので、今病室にいるのは俺と風磨の二人だけ



風「………身体、痛む？」

健「うーん…若干左の肋骨が痛い？」

風「そっか……」

正直嘘付いた
本当はめちゃくちゃ痛い

痛み止めの点滴を入れてもらっててこれなんだから、骨も数カ所盛大に折れてるんだろうな
コルセットで固定もされてるし






健「………」

風「………」


気まずい沈黙が続く


……でもやっぱり、聞いておかなくちゃ
そう思った俺は意を決してゆっくりと口を開く






健「………風磨さ、何か隠してるなら言ってよ
俺ある程度は覚悟出来てるから」

風「……っ」

風磨の顔が明らかに動揺に染まる

そりゃもちろん聞くのは怖い。でも俺は意識が戻って初めて風磨の顔を見た時からなんとなく分かってた

事故ったのは風磨が救外の当直だった日で、風磨が診てくれたことは容易に予想がつく
そりゃ全身打身だらけで骨折もしてて輸血もされてて、さっきまでICUにいた訳だから今も全身状態が良いとは言えないけど、意識がちゃんと回復したのに風磨の表情が晴れないのは、何かあったんだろうなって





健「風磨、俺大丈夫だから
そりゃ…、死ぬのは嫌だけど…お前らに迷惑掛けたりすんのも嫌だけど……我慢なら結構でき」

風「違う！兄貴は死んだりしない！！」

健「……っ」

流れる空気の重苦しさに、なんとなく命に関わる話なのかと思った俺は、風磨が真剣に声を荒げる姿にびっくりしてしまった
そうか…死ぬわけではないのか




健「じゃあ何が……」

風「……ｯ………ごめん兄貴……俺さ…」



遂に風磨が苦悶の表情でゆっくりと口を開く


そしてどんなことでも受け止めようと覚悟を決めていた俺の胸中は、この時も不思議と穏やかだった

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