交通事故 ページ19
風磨side
俺はあの夜のことを包み隠さず全部話した
兄貴が搬送されてきた時の状況、脾臓を損傷していると分かったのに俺が手術に踏み切れず兄貴の身を危険に晒してしまったこと、結果的に脾臓の全摘出をしたこと
そして、そんな話を聞いている時でも
兄貴は終始落ち着いた様子だった
風「………兄貴、本当にごめん
俺の判断がもっと早ければ兄貴の身体にこんな負担掛けなかったし……っ、まずそもそも搬送されて来た時点で直ぐに気付けてたら、破裂する前にカテーテルで塞いで摘出もしなくて済んだかもしれない…！」
健「……」
あくまで結果論ではあるが、こうしておけば、ああしておけば良かったと後悔ばかりが押し寄せる
風「自分でも…ｯ、あんな…動揺すると思わなくて……ほんと……っ…情けない…」
健「風磨……」
風「兄貴ごめん、本当にごめん……ｯ、ごめんなさい…」
何度も謝りながら俺は年甲斐もなく泣いた
本当に泣きたいのは兄貴の方なのに
そういうところも、俺の弱さだと思った
健「……風磨、顔上げて？」
風「……っ」
健「俺そんなことくらいで、風磨を…弟を恨んだりなんてしないよ」
風「…兄貴……」
健「だって俺あの瞬間も、勝利が助かるならどうなってもいいと思った……ハッキリ覚えてる訳じゃないけど…だから自分から飛び込んだんだと思う」
風「……」
健「助かるとも思ってなかった
だけどこうして風磨が助けてくれた」
風「……っ」
健「風磨のお陰で……また勝利にも、聡にも、マリウスにも会えた…っ……寂しい思い…させなくてよかったって……ｯ…」
その瞬間、兄貴の目からツーっと綺麗に涙が流れた
震えている声を聞いて
兄貴がどれほど不安な思いをして、そして俺たち家族のことを想ってくれていたかを改めて思い知る
兄貴は俺が弟として生まれた時からずっとそうだった
どれだけ俺が反抗しても、キツく当たっても、兄貴は兄貴のまま変わらず俺を受け止めてくれた
性格上兄というより弟っぽく見える時もあるが
下3人を見守る眼差しはいつも愛情に溢れているし
親代わりで在ろうとしてくれる責任感みたいな物を兄貴からはいつも感じていた
健「……風磨、っ……ありがとう」
風「…俺の方こそ……ｯ、兄貴が無事でいてくれて、本当によかった………ありがとう…っ」
俺たちはこの日、固く手を握りあって
涙が枯れるほど泣いた
兄貴と二人で泣き合ったのは
両親が亡くなった日以来の出来事だった
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紫苑(プロフ) - 雨さん» そのように言って頂けてとても励みになります！ありがとうございます！これからも読んでいただけるよう更新頑張ります😊 (2022年2月18日 23時) (
レス) id: 5a1aac4853 (このIDを非表示/違反報告)
雨 - いつも見てます！紫苑さんのペースで頑張ってください！お話大好きです！ (2022年2月17日 0時) (レス) id: 86d36c49a2 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - 雨さん» 雨さんリクエストありがとうございます。なるべく早く更新できるよう善処しますので、暫くお待ちいただけますと幸いです😊 (2022年2月16日 23時) (レス) id: 06fd90b932 (このIDを非表示/違反報告)
雨 - 健人くんの胃潰瘍のお話がみたいです (2022年2月16日 8時) (レス) id: 86d36c49a2 (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - 中途半端でもいいのでお願いします (2022年2月13日 0時) (レス) id: 5e65e2d11c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫苑 | 作成日時：2022年1月30日 0時
