【文スト】続・優しい殺人鬼 【森鴎外】

十四日目　１１時 ページ17

「いやあ、遅くなってしまったね」


――朝食時に紙を渡された。

そして、指定の時刻、部屋に待機すること数十分。
ようやく鴎外さんが来た。


「おっそーい！いつも遅いのに今日も遅い！あたしだけじゃなくてAも待たせるなんて信じられない！」


三十分ほど前に来たエリスちゃんは早くも怒りを爆発させている。


「すまないねえ、探し物をしていたんだよ」
「サガシモノォ？」


疑いきった目でガンを飛ばす彼女。


「これなんだけれどね……身に覚えはあるかな？」


そう言って、手にしていた紙袋から取り出したのは……ゾウ、だろうか。可愛らしくデフォルメされているくたびれたヌイグルミだ。


「……いえ、ないですけど」
「そうか…………これもか」


頷いた後、何かを呟くと私の目線に合わせて立った。


「これは、Aにとって大切な物なんだ。だから知らなくていい、分からなくていい。だが持っていてほしい」


有無を言わさず、人形を押し付けられる。
……どこか懐かしい、でも憶い出せない。


「それじゃあ、撮影の方に入ろうか。最高のカメラを用意したからね！」


といって取り出したのは一眼レフ。
でしょうね、知ってました！


「まずは一人ずつ撮ろうか。最初にA、人形有無の差分も撮ろう。次にエリスちゃん、その次にエリスちゃんとAの二人で……それも差分があった方が好いかな？あぁ、忙しくなりそうだねえ！」


　


(ニッコリ)

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