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第五十六話 終端の時は近い ページ13

“最期まで仕事をする”。

その言葉を信念とし、勤しんできた。
元よりタイムリミットは一週間だったのだ。

時が過ぎるのは早いモノで、
私が13歳になるまで、残り一時間となった。

此処はポートマフィア本部ビルの最上階の部屋前。
とある決意を抱いて室内に入る。


「失礼します、首領」
「…………今晩は、Aちゃん」


部屋の中央にある椅子に座り、
窓の向こうの星空に向けられていた視線が此方に向かれた。


「それで?
 “折り入ってのお願い”とは、何かね?」


懐から一枚の紙を取り出す。
ほんの数刻前に首領に渡した私からの手紙だ。


「……私を、殺して欲しいのです」
「またそれか……」


少し苛立ったような声がする。


「何度も云うが……それは聞けないお願いだよ、君」


――“君”。
冷たい視線が私を射抜く。

矢張り、あぁ、駄目なのかぁ……。


「……分かり、ました」


失礼しました、と彼に一礼し、
足早に自室へと向かう。

――私は、決意を実行する。

私は、13歳になることが耐えられない。
これこそ、利己主義なのだろう。

でも、それを認めた今――

――やるしか、ないのです。


そう心の中で再確認を済ませた時、ちょうど自室の前に着いた。
扉を開ければ、普段は無い天井からぶら下がる“異様なモノ”。

私は前々から家具を退かし、
すっきりとされた空間の真ん中にポツンとある台に立ち、

天井から吊るされた“(それ)”に手を掛けた。


 


(乞い叶わぬ乙女は蛇になりて蜷局を巻きたること鐘の如く)

第五十七話 首領の勘→←第五十五話 すれ違い



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作品ジャンル:アニメ
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臣民(プロフ) - みぃさん» ここまで閲覧して頂き、誠に有難う御座います! 私が書く森さんはただでさえぶっトんでいるのに次回作は更にそれを加速させそうです(苦笑) 少女漫画の様にまたキュンキュンとさせられることを目標に、頑張ります! (2018年7月16日 13時) (レス) id: d39d595e1e (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 幸せな終わり方でしたね!! キュンキュンしました! 次回作楽しみにしています! 完結お疲れ様でした! (2018年7月16日 7時) (レス) id: d688bcfef3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:臣民 | 作成日時:2018年5月27日 18時

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