第十八話 愛しい罠 ページ20
「リンタロウ! 大変!」
勢いよく部屋の扉を開けて、私に駆け寄ってくるエリスちゃん。
「どうしたんだい?」
「チュウヤとAが人気の無い仮眠室に!」
「なッ……」
八割空気の声が出た。
否、問題点はそこでは無い。
――人気の無い、仮眠室。
何が起きてしまうかは想像に容易い。
それこそ、ハニートラップさえ仕事と割り切る少女とならば、
本統に、容易く。
「そうかい、中也君にも、そういう趣味が……」
「でも、チュウヤって、
「そうなのかい?」
「さぁ……詳しくは知らない」
言葉の確証が無く、不安になる。
だが――
「まぁ、そうだよねえ……。
こんな中年を好いてはくれないよねえ……」
「よく分かってるじゃない」
「非道い!」
エリスちゃんの言葉に涙が出る。
本統に“その言葉”で涙が出たのなら、の話だが。
「…………リンタロウって、ホント莫迦。
Aはリンタロウのことを慕っているのに、
どうして気づかないの?」
「え?」
呆れた、と云わんばかりに睨みつけられる。
だがそんなの、疾うに気付いている。
――『ただ、首領というだけで私を慕ってくれているのか。』
「……ホント、莫迦」
ワザとらしい大きなため息を吐かれる。
「“あたしですら気づく”のに、どうしてリンタロウは気づかないの?」
「何がだい?」
問うたが、返事はなく。
私に背を向けて、部屋の扉の方に歩いて行ってしまう。
「何処に行くのかね?」
「遊びに。
大丈夫、火遊びはしない」
そう云って、扉を開けて、半分ほど消えかかった時に
「言葉の意味が一つとは限らないから。
そこ、大事」
そう云って、扉の奥に消えてしまった。
真意は分からない。
(恋は盲目)
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蒼(プロフ) - 1でお願いします! 更新頑張ってください!!続き楽しみにしてます!! (2018年4月8日 21時) (レス) id: 7443137317 (このIDを非表示/違反報告)
臣民(プロフ) - みぃさん» 原作第五十話に続くような形で書かせて頂きました。二三回読める話をモットーとしておりますので、深く考えていただけたら嬉しい限りです。更新頑張ります! (2018年4月7日 11時) (レス) id: d39d595e1e (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 最後ので涙がブワッと…エリスちゃぁぁああん!! 更新楽しみにしています! (2018年4月5日 16時) (レス) id: d62fbb3902 (このIDを非表示/違反報告)
臣民(プロフ) - **楼椛**さん» いえいえ!応援有難う御座います。たっぷりお楽しみください! (2018年3月26日 20時) (レス) id: d39d595e1e (このIDを非表示/違反報告)
**楼椛** - 初コメ失礼します!今日初めて拝見させていただいたのですが、とても面白いです(ありきたりな言葉ですみません) 更新頑張ってください!これからも森さんを楽しみにしてます!←← (2018年3月26日 19時) (レス) id: e7e0abd8b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:臣民 | 作成日時:2017年10月22日 9時