【文豪ストレイドッグス】幼女に「お母さん！」と言われた

第十四話　武装探偵社 ページ16

「治した途端逃げて…
　もう少し拘束器具を頑丈にするべきだったかねぇ…」
「いいや十分頑丈でしたよ！？」


頑丈すぎるせいで恥も捨てる方法で抜け出した。
おかげで全身が痛い。

おや、と気づけば。


「眼鏡の人！」
「国木田独歩、だ。今度眼鏡の人と言ってみろ。
　こうだぞ」
「国木田くーん。それじゃ分からないよー」
「ダザイさんでしたっけ？」
「太宰治だよ。それで心中する決心はつ」
「あ、治ったんですね。良かったです」
「誰だっけ」
「中島敦です」


今のところ分かるのが国木田さん、太宰さん、敦君。
そして


「与謝野様」
「やめてくれよ。あくまで平等な呼び方にしておくれ」
「なら与謝野さんで」


“与謝野姐さん”でも良かったけど被るか

「兄様ー！」
「ナオミ！やめてくれ！」


…ナニコレ。
という目を皆さんに向ける。


「いつものことでしょ。気になくていいんじゃない」
「あれどちら様でグッ」


突如チョップが頭にはいる。


「馬鹿者！江戸川乱歩さんだぞ！」


いや知らんし。とは言えない顔をしてきた国木田さん。
対する後ろの乱歩さんはドヤ顔決めてる。

あ、少し腹立つ。


「はァ…捕まッた……あれ、治ッたんですね」
「え？何。今更だけど治ったことがそんなに不思議？」
「いえ…早く終わッたなと」


そりゃあ逃げましたから！


「兄様。ナオミのこと忘れてませんかぁー」
「ナオミ少し待ッてよ！…えッと谷崎潤一郎です」
「妹のナオミです」
「谷崎君とナオミちゃんね。把握」


うひゃあ。人いっぱいだなここ。


「あ、探偵社前で襲撃された人ですね」


あら可愛い。


「宮沢賢治です。よろしくお願いします」
「Aだよ。よろしくねー」


賢治君によろしく、と返すと皆さんが一点に集中し始めた。
敦君が何かを説明してる。


「もう行方不明ではないらしいですよ」


あ、捜索願のことか。
そりゃあ町全体に出されていれば嫌でも分かるか。

説明が済んだのか元の位置に戻る皆さん。


「…さて、本題だよ」


急にかしこまる太宰さん。
こっちも緊張する。


「君は異能力を受けた。
　受けたのは君の言う“与謝野さんの君死給勿”。
　それと君の言う“谷崎君の細雪”」
「その“君死給勿”は分かります」


いきなり腕ができたからね！


「細雪が分からないのは無理もない。
　いきなり彼が現れただろう？つまり姿を隠す異能力だよ」


　


(成程分からん)

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