ささえあい。2 (ページ7)

今日:4 hit、昨日:7 hit、合計:18,766 hit

54 ページ7

石川くんに背中を押されたはいいものの、ちゃんと言えないのが私。食事はリラックス効果をもたらす、と何かで言ってたけどそうでもないかもしれない。私がぽつりと漏らした言葉以降、一挙手一投足に緊張を帯びている。それはマサさんも同じで、緊張が伝わってきた。

「あのさ…」

『は、はい！』

「…何でそんな緊張してるの」

『あ、いや…何？』

「昨日の打ち上げで祐希と何話してたの？」

あなたの事ですとは何があっても言えない。でも多分、マサさんからすればあの光景は、私が石川くんの事を好きみたいに見えていたのかもしれない。そんな誤解はされたくない。でも何て言えばいいんだろう…

『えっと…料理の話だよ』

「嘘だ」

『…はい』

撃沈。

「Aちゃん、本当俺に嘘つくの下手だよね」

ごもっともです。

ええい、もうこの際何でもいいや！今日で最後なんだもん！言っちゃえ！！

『マサさんは！その…どういう風に見えたの？』

必殺・質問返し。

私はどんな言葉を待っていたんだろう。

「…そういう風に見えた」

よく分からなくなった。
そういう風に…石川くんと私が恋人同士に見えたって事だよね。

「でも…嫌だった」

『え…』

「何であいつが隣なんだよって…うわ、何カッコ悪い事言ってんだ」

更によく分からなくなった。私はマサさんに何が言いたいんだろう、何をしたいんだろう。質問返しをしてただ逃げてるだけじゃない。

『…私、石川くんとは何も無いよ』

私が好きなのはマサさんだよ。

『だから…変な誤解、させて、ごめんね』

あぁ…やっぱり言えない。意気地無し。