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「これで連絡事項は以上ですが質問等はありますか?」

常套句の最後はキャプテンの深津さんが挨拶をして全体ミーティングが終了した。今日は全体練習は無いらしく、各自自主トレと小冊子にもあった。
そして夜は親睦会。嗚呼、ただでさえ女性スタッフも少ないのにこんな立場…昴くんの“一生のお願い”と私の恩返しは上手くいくかなあ。

『はあ…』

やっていけるかなあ。

「Aちゃん!」

『!』

ザワザワと研修室に色んな会話が飛び交う中、私の名前が急に飛んで来て思わずビクッと肩が上がった。その声の持ち主は十分に聞き慣れた、ミーティング中に目を真ん丸にしていた人だ。

『マサさん!』

彼と目が合うまで、彼が代表選手だった事が頭から抜けていた。目の前によく見知った人が現れて今の私は緊張が解れるのが分かった。

「え、何でここに居るの!?」

『はは…』

…そうなりますよねー。
というのも、マサさんに龍神NIPPONのスタッフになったというのは伏せていたのだ。図書館勤務だと偽り続けて数ヶ月、漸く本当の事が言えてそういう意味でも緊張が解れたというか肩の荷が降りたというか。

『サプライズってやつ』

「サプライズというよりドッキリだよ」

あ、そっか。

「マサさんの彼女?」

「『!!』」

「違ぇよ!」

「痛ーっ!叩くことないじゃん!」

バシッと一発、その人の背中にクリンヒットした。その人はマサさんと呼び、タメ口で喋る。そうか、この人は…

『石川、さん…』

「うん、そう。石川祐希です、よろしくお願いします」

『寺島Aです、よろしくお願いします!』

マサさんよりも背が高い…きっと190はあるだろう。ここには私よりも身長が高い人が沢山居て、私は160ギリギリあるにも関わらずここは最早巨人の密林。どこかの漫画では捕食対象になる。

「えっと、カウンセリングって何処か部屋とってるの?」

この人、マサさん以外は。

『ううん。時間があればいつでもどこでもお話するだけ。まあ、こういう立場だからメディアやSNSには関われないけど』

「そっか…図書館員は?」

『折角決まってたけど、断っちゃった』

「…」

『…ここに居るのは、皆の為だから』

言ってから気付く、意味が分からない。
ここでは流石に…言えないかな。

『マサさんは自主トレ?』

「まあ…」

『じゃあ私もついて行ってもいい?このチームがどういうチームなのか、見たいから』

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作者名:しおん | 作成日時:2019年10月26日 6時

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