Love T-Rain【Kaz・N 0617BD/2014】 (ページ9)

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9両目ページ9

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涙が溢れて止まらなくって

足にも力が入らなくって

そのままそこにしゃがみこみたくなる。

ハンカチで涙を抑えて

とりあえず駅ビルのトイレに駆け込む

どうしても電車に乗れない私はほんとお子様だ

お母さんに車で迎えにきてもらうように電話で頼む

ほどなく迎えに来てくれたお母さんに頭痛くてと言い訳をする

疲れちゃったのねっていうお母さんの優しい声にまた涙が溢れた。

こんなお子様な私じゃ全然釣り合わないよね

そう、二宮さんは大人だったんだ。

たまたま私と毎朝電車で一緒になる

ただそれだけの関係だ

お互いの携帯の番号もアドレスも知らない

私が知っているのなんて二宮さんの名前と会社名と少しの昔話

毎朝の数十分の二宮さんが私の知っている二宮さんの全てだった

次の日は幸い週末で

ほんとだったら予備校に行かなきゃいけない

センター試験だってあと200数十日なんだから

でも、行く気になれなかった

人生初の失恋だからかなと思う

ベッドにいても

机に向かっても

お風呂に入っても涙が溢れる

今までだって好きな男の子はいたし

彼氏がいた時期だってある

失恋したことだってある

そう自分では思っていたけど今回のこの気持ちとは比べ物にならなかった。

涙って体のどこで製造されてるんだろう

私の涙の製造ライン壊れちゃったかも

そう思いたくなるくらい勝手に涙が溢れていた。

日曜日の夜、

数学の苦手な複素数の問題を解きながらあの電車にはもう乗れないなと思う

「お母さん、私、明日から自転車で駅まで行くから少し早く家でるね」

今までは本数の少ないバスに乗って駅まで行っていた

家が坂の上にあるから自転車だとかなり辛い

それに予備校の帰りはずいぶん遅いので道が怖いんだよね

でもあの電車に乗らないためにはそうするしかないし

いいや、体力つくし

ダイエットにだってなる

そう自分を鼓舞した。

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