Love T-Rain【Kaz・N 0617BD/2014】 (ページ8)

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8両目ページ8

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週末はぎっちり予備校の授業も入っていて

いつもより少し遅い時間に駅に行く。

週末だからアルコールの入ったサラリーマンさんやＯＬさん達がたくさんいるホーム

みんな楽しそうだななんてぼんやり見てた。

たくさんの人がいるホーム

なのになんで私の目はちゃんとその人を見付けられるんだろう

こんなに離れた所なのにね。

大きくはない身長

でもスタイルは良くて

柔らかそうな髪

イジワルそうに口角をあげる薄い唇

そしてなによりも大好きな綺麗な瞳

その人が楽しそうに話しをしてる

同じようにスーツをきた男の人たち

キレイにお化粧をしてパンプスを履いた女の人たち

その女の人のひとりはその細い腕を二宮さんの腕に絡めていた

それを振りほどくこともなく笑いながら話しをしているその人。

その人はほんとに私の知ってる二宮さんなのかな。

……あぁそっか

私が知ってる二宮さんなんて一日の内の数十分だけなんだ

ほんとはこうやって大人な人達と楽しそうにしゃべって

キレイな女の人と一緒にいるのが二宮さんなんだ

そんなことに今更気づくなんて

悲しかった

悲しくて、悲しくて心が冷たくなっていった

上がってくる涙をとにかくこらえた

やがて電車がホームに滑り込んでくる

相変わらず女の人は二宮さんの腕につかまっていて

少し混んだ車内に楽しそうに乗り込んでいった。

私はそこから一歩も動けなくって

電車のドアが閉まるのを視界の端に見ながら立ちすくんでいた

窓ガラス越しに二宮さんが見える

二宮さんがふと顔を上げる

いつかの時のようにぱちっと音を立てるように目が合った

『えっ！？』っていう顔の二宮さんが見えた

電車が動き出して

二宮さんを乗せた車両は私から離れていった

それは私と二宮さんの関係みたいに

ガタンって音をたてて離れていった。

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