少年少女の水色事件簿二冊目 (ページ27)

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3話　② ページ27

「この本は、重要証拠物件としてお借りします。では、これから捜査会議に入りますので失礼します」

そう言って図書室を後にした若武に続いて、上杉と黒木、僕、小塚の順に図書室を出た。
歩きながら、上杉が目に鋭い光を浮かべる。

「誰が、いつ、何のためにやったかだな。黒木、どう思う？」

視線を向けられて、黒木は首を横に振った。

「これだけの材料じゃ、まだ何とも言えない。若武、その雑誌を小塚に渡しとけよ。そこから出来るだけ多くの手掛かりを引っ張り出すんだ」

若武は頷いて、丸めて持っていた雑誌を小塚に渡す。
「頼んだ」との言葉と共に預けられたそれに、小塚は自信を持って頷いた。

「あと、切り取られたページにどんな記事が載っていたのかも知っておきたいな」

若武の声に、黒木が手を上げる。

「それは俺がやる。同じ雑誌を手に入れて、コピーしてくればいいだろ」

若武が頷いたのと同時、上杉の腕時計がアラームを鳴らした。

「楽しいお勉強の時間だ。教室に行こうぜ」

スイッチを押してアラームを止めながら、そう言って上杉はニヤリと笑った。

「続きは明日やろう」

若武が言って、僕と小塚を見る。

「俺達は明日、秀明グラウンドで試合なんだ。5時に終わるから、それからミーティングしよう」

僕と小塚が頷く傍ら、上杉と黒木はゲッと言って、ちょっと嫌そうな表情で顔を見合わせた。

「おい、試合の後かよ」
「俺、死んでるぜ」

それとは相反して、若武は生き生きしている。

「死なずにやるんだ。滅多にない大事件で、おまけに初仕事なんだぞ。俺達の手で犯人を突き止めて、探偵事務所の名を上げるんだ」

若武が声に力を入れるのと比例して、その瞳も輝きを強くしていく。

「そうして、今度こそテレビに出るんだ。新聞にも載ろうぜ。なっ！」

ニヤリと笑って言った若武に、僕達は再び顔を見合わせて、一斉に溜息を吐いたのだった。