護ると云う約束 ページ14
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「のう、A。
最近少しおかしくはないかの?」
ふらふら、覚束無い足取りで廊下を歩いていると後ろから尾崎幹部に話しかけられた。
"おかしい"その言葉に吃驚したがどうやらクマも酷いようで。
認めたくないと思い乍らも頭が鈍痛に襲われる事が多々有った故に認めざるを得なかった。
「____、っ」
言葉を返さない私。
無言は肯定と看做したのか、尾崎幹部は少し考える素振りをして__
私に茶を誘った。
生憎仕事が入っているので座敷牢に行かなくてはならないのだが尾崎幹部が半ば無理矢理連れて行こうとするので仕方なく了承した。
仕方なくだが。
仕事が遅れたら尾崎幹部のせいだ、と溜息混じりに呟くと尾崎幹部がぬっと横から出てきて
「善い善い、何とでも云え」
と、之また美しい笑みを浮かべていた。
お言葉に甘えて遠慮なく「尾崎幹部に連行されました」と云おう。
少し肩の荷が軽くなった気がする。
そんなことを考え乍ら幹部室に入る。
恐る恐る椅子に座ると緊張していたのがばれたのか、尾崎幹部は面白そうに笑っていた。
____恥ずかしい。
「そんな固くなるでない。
取って食ったりせんからそこらで寛いどいて善いぞ」
「い、いや……そんな」
「ふふ、相変わらずAは憂いのう」
茶化すように笑った尾崎幹部。
そして暫く笑った後、一息ついて急に真面目な面持ちで此方を射抜くように見つめた。
「差て、本題じゃが……
単刀直入に云う、A。私の幹部補佐にならんか」
「幹部……補佐」
そうじゃ、と呟いて机に出されてあった茶を啜る。
私は嬉しさ半分驚き半分だった。
何故急に?と思うと尾崎幹部は見透かしたように笑って答えた。
「なんじゃ、その……
中也の幹部補佐になるのかと思っていたが幹部に昇格しても全くその話が無いのでのう。
だったら私が奪おう、とな。
前々から思っていたのじゃ、A。其方が欲しい。
他の所ではなく私の所で其方は活かされる」
その意思の強い瞳と自分の瞳が絡まると、固まったかのような錯覚に陥った。
震える唇を横に結ぶ。
「___勿論。
生涯中原幹部のお傍に付く事は約束しましたが中原幹部同様、尾崎幹部も私の心の拠り所です。
幹部補佐になるとは云ってませんからね。
信頼する貴方を、一番近くで、御守りします」
其れで善い、とでも云うように尾崎幹部はふわりと笑った。
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ゆい - 首領は中也のこと名前呼びですよ (2018年10月3日 10時) (レス) id: ec4be56788 (このIDを非表示/違反報告)
ザクロ(プロフ) - 続き楽しみにしてます! (2018年7月9日 1時) (レス) id: cf0e41908a (このIDを非表示/違反報告)
@くろ_。(プロフ) - 雪花さん» ありがとうございます!実は先程公開しようとしたらデータが消えました、、、えへ (2018年6月10日 16時) (レス) id: a5d4ec3f5a (このIDを非表示/違反報告)
雪花(プロフ) - すごく面白いです!!続き楽しみに待っています!! (2018年6月8日 13時) (レス) id: 5dc7f7d16f (このIDを非表示/違反報告)
@くろ_。(プロフ) - こんるりさん» あざますぅえええはぁぁぁあす↑↑↑中也さんとびっきりかっこよくしますね(ウィンク) (2018年5月30日 20時) (レス) id: a5d4ec3f5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:@くろ__。 | 作成日時:2018年5月23日 18時