そっか、私。邪魔なんだ【文スト】

叶わぬ恋する妹の立場 ページ12

.


あの日から順調に回復した私は、何時の間にか仕事に復帰していた。

唯、暗殺は未だ心配な様で。

首領は圧力を掛け乍ら書類整理を命じた。

思い出すと少し笑って仕舞う。
私は過保護だと思いつつ、何時ものように山のように膨れ上がった書類を片した。

まあ、"何時より"少し疾めに終わらせたが。




何故なら＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿





「…………中原さ……中原幹部。もう行かれるのですか？」





私の恩師、中原幹部が小競り合いの鎮圧へ向かうからだ。

私だって行きたかったが、生憎首領に戦闘禁止令を出されているので致し方ない。


明らかに気分が悪い私に中原幹部は笑って乱雑に頭を撫でた。





「わ、」



「心配しなくともすーぐ帰ってやるよ。
手前は俺が居ないと何も出来ねェんだからな。」



「＿＿＿辞めてください」



「嗚呼、悪ぃな」





そうじゃない、髪が崩れて厭なんじゃない。





私の事を妹のように見ているのが厭なの。





そんなこと云える筈もなく、小さく俯いてから笑顔を貼り付けた。


ねえ、貴方はこんな事で騙されちゃうんでしょ？
あの人に色目使われて意識しちゃってるだけじゃないの？


そんな汚い私の心。
ぐっ、と奥にしまい込んで手を振った。





「疾く帰ってきてくださいね」



「嗚呼」





中原幹部が乗り込んだ車から目を逸らして私はビルに入っていく。

＿＿＿自身を主張しないよう、小さく伝った水滴に気付かないフリをして。

森医師と壊れる自分自身→←人生で一番大切な約束

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す