そっか、私。邪魔なんだ【文スト】

人生で一番大切な約束 ページ11

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「A」





首領とは違う、少し不器用な雑な撫で方。

私の愛しい人の撫で方と気付いて目を開ける。


少し電光が眩しい。
彼は目を細める私と視線が交わった瞬間、はにかむように、幸せそうに…………笑った。



＿＿＿＿＿＿私が、笑顔にさせた？


彼女の前でしか見せなかった彼程柔らかい笑みを、今私に向けている。

信じられない、とでも云うように私は口を開いた。





「なか、はらさ……」



「おう、お前の師の中原中也だ。
＿＿＿＿＿＿善かった、目が覚めて」





その吐息混じりの言葉が、私にすっと馴染むように溶け込んでいく。

屹度(きっと)部下としての言葉何だろうけれど、



＿＿自惚れても、善いですか





「中原さん、好きです、大好きです、」



「嗚呼、ありがとよ」





震える声でどれ程愛を呟いても貴方は少し目を丸めるだけで本気にしない。

ぎゅっ、と胸の辺りが苦しくなるが見て見ぬふりをした。





「私を、ボロ雑巾として使って善いから……」





"ずっと、貴方のお傍に居させてください"





「……手前が其の気なら、勝手にすれば善い」





唯一の我儘を言葉にすると、中原さんは又小さく笑って云った。
文面だけじゃ刺刺しいが、彼の声は非道く重みが有り、非道く優しかった。


それだけで、胸がいっぱいいっぱいで。





「＿＿＿、」





涙目になって不格好な笑みを浮かべた。

中原さんは私の頬に流れる一筋の涙を撫でるように掬い取る。


手袋越しの体温が妙に暖かく感じた。




＿＿＿＿"之が私の人生で一番の約束"

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