近藤と土方と僕 ページ5
サッと襖が開きそこには近藤としかめっ面の男がいた。
紹介がなくてもしってる。泣く子も黙る鬼の副長土方十四郎だ。
「だーから!近藤さん!良いよ俺は!」
「トシ!その件に関しては何回も話しただろ!これは特別なんだよ」
「そんなこと言ってもよ」
鬼の副長がギロッと目つきの悪い顔で客間に座っている近藤の客人を睨む。
「(うわ、睨まれた…え、何?)」
状況が飲み込めずただただいることしかできないA。
「ぁ…あの…ゴ…ゴリさん?」
ギャアギャア言い争う二人に恐る恐る声をかける。
「あ!Aくん!すまんすまん」
はっと近藤がAに気を戻す。
「どういう状況ですか?」
「こいつは必要ねぇよ。近藤さん。」
近藤の話を遮るように土方はいらねぇ。の一点張りだが話をまとめると
誕生日を迎える土方になにか良いプレゼントはないか、常日ごろ忙しい土方には感謝しており恩返しがしたいと。
Aも最近依頼主が少なくなっており困っているとぼやいていた。
そこで近藤は二人への感謝という形で、マッチングさせようと考えたのであった。
「トシ、ここ最近現場ばかりで書類が溜まっていただろう。」
「だからってよく分からねェ奴に世話になる必要はねェよ。それに部外者に見せれるものもねェ。」
ふぅーっと煙を肺にいれて吐き出し、目の前に座っている土方はAを見た。だーかーらー!と近藤と土方の言い合いが始まり出した矢先、Aがヘラッと笑いながら口を開いた。
「土方十四郎さん、ですよね。僕の仕事っぷりはここで役に立つか分からないのでなんとも言えないですけど規約として守秘義務っていうものがあります。」
「守秘義務って…」
土方がふっと鼻で笑った。Aの眉がぴくりと動き、先程まで弧を描いていた口元は笑みが消え、静かなAの声が部屋に渡る。
「爪を剥がれようが身を裂かれようが俺は護る。死んでも話さねェ」
「「……」」
僕にもプライドというものがある。利用者の顔色を伺ってニコニコしているだけではない。
「どちらでも良いですよ」
先程とは打って変わっていつものように笑うA。
「帰りますよ?」
「…どうする?トシ?」
「…あーもう!わーったよ!!」
「そうか!良かったトシ!これで決まりだな!」
近藤は嬉しそうにバシバシと土方の背中を叩く。
少しゲッソリとした土方が書面にサインを書き、ペンを置いた。
「宜しくお願いします」
「…ああ」
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作者名:アバランチ | 作成日時:2022年7月16日 23時