斎藤と僕 ページ12
Aはペコリと頭を下げて切れた靴を持ってケンケンしながら歩き出すと先程からずっと寝て…黙っていたアフロがついてきた。
「えっと…何か?」
「………」
何も話さないので分からない。Aは変な人に掴まったなと苦笑いをこぼす。すると急にアフロの人は紙とペンに何かを書き出してペラリと紙を見せてきた。
“良かったら家まで送ろうか”
「え、いや良いです良いです!」
Aは両手をブンブン振ってアフロさんの気持ちに感謝した。
“そんな足元じゃ”
「あぁ…じゃあお願い」
Aはアフロさんに肩を借りようとお願いしようとした瞬間、目の前にふわりと温度を感じておんぶされている事に気づいた。
「え!ちょっと!」
“こっちか?”
「あ、そっちです」
Aは改めて変な人に絡まれたなと思う。
歩いている道中もアフロの人は話すことはなかった。沈黙も良くないかと思ってAは何となく自己紹介をした。別に話を聞くのが嫌なわけでは無さそうだ。
「なので何か利用したい事があれば言ってください。アフロさんならタダで」
「………まる」
「え?」
「…斎藤終だ」
「はい!斎藤さんですね!話せるじゃないですか、とてもいいお声ですね。あ、ここ右です」
Aはニコニコしながら斎藤に話しかけると終始無表情な顔だったが目を見開いて立ち止まった。
「さ、斎藤さん?」
「……何でもない」
無事に自宅につきAは丁重にお礼を伝えた。
斎藤はまた何も言わずに頭をかいて帰っていった。
また明日からはいつもの日常が来ると思っていたけどちょっと色濃くなった。
次からは1話読み切りが続きます。
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作者名:アバランチ | 作成日時:2022年7月16日 23時