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「悪かったよ、」
先に謝ったのは、兵士の方だった。
「いえ、」
「ただな、銀髪の兄ちゃんよ、俺らはドイツと違うんだ。
誰もが望んでユーゴになった訳じゃない、それぞれが抱えていた問題から逃げるために
集まり、一つのでけぇ国になっただけ、兄弟愛何てはじめからなかったのさ、」
天井を見つめ、涙を流す兵士。
「それぞれ、生まれも境遇も違うんだ、だから平気で互いを殺し合う
スロベニア、お前何てハプスブルクの中心にいたから崩壊するまで会ったことも聞いたことも
ねぇってのによ、勝手に兄弟ぶって、見下して」
それは私もそうだ。アレクサンダル以外にはあったことがなかった。でも
「それを今彼女に言ってどうするの」
フェリシアーノが言う
「、お前がどれだけ苦しい状態にいるかは十分理解できる。
でも、彼女がどうして平和に生きてるなかでここに来たのか理解してあげて、
本当に嫌いなら、こんなとこ来ないよ、でもそれでもここに来た。それはAがボスニア・ヘルツェコビナを大切な兄弟だと思っていたからじゃないかな。」
フェリシアーノ?
どうしてそんなこと言うの…?
やだ、涙が…知ったかぶらないでよ…
「っ…うぇっううえっ…ぐっ…ひぐっ…う…うあああああん」
その場にしゃがみこみ、泣く。
何で私が言ってほしい言葉をあんたが言うの?
「スロベニアさん…」
写真の兵士が私を片手で抱き締める。
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全員の手当てが終わり、食事も食べさせ、帰る時間が来た。
「ありがとう、家族の写真をくれて」
「いえ、」
ちらりと私に怒鳴って来た兵士を見る
「さっさと帰んな、ここはお前のいる場所じゃねえよ」
「…ふふ そうですね、」
空港の方へと四人で歩く。
未だ銃弾の音が響く。この音はいったいいつ止まるのだろうか?
私には、何ができる?
「A、手」
来たときと同じようにフェリシアーノが手を差し伸べる
「…ん」
その手を握りしめる。
この日から一年と半年後、ユーゴの銃弾の音は消えた。
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作者名:ましゅまんじゅう | 作成日時:2018年9月5日 0時