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「……あっつすぎやろ」
襟元を片手で持ってパタパタと揺らし
風を送ろうとする水上は今にも溶けそうだった
『教室戻ったら?』
「あ?まぁ、そのうちな」
暑さに耐性がないのか今すぐにでも涼しいところに
戻ったほうがいいのではないかというくらい
酷い顔をしていた
『そろそろ私戻るよ』
授業が終わった時
教室にいなければ怒られてしまうため
戻らなくてはいけない
私が立ち上がれば隣にいる水上も
ダルそうに立ち上がって前を歩き出した
私が戻るのを待っていてくれたのかなと
また期待する気持ちが私の中に積もる
屋上から廊下へと移動すれば
日差しがなくなって暑さが少し楽になった
廊下を歩いていれば授業終了のチャイムが鳴った
ざわざわと教室から出てきた生徒によって騒がしくなった
それでも隣を歩く水上との距離は変わることがなかった
教室に戻れば涼しい風が全身に駆け抜けた
流れた汗が冷やされ上がった温度が
少し下がる感じがした
隣にいる水上も教室に入って
生き返ったように目を細めた
ひんやりと冷えた自分の席につけば
気まずそうに影浦からの視線が向けられた
それは影浦だけではなく村上も同じだった
カゲウラに集まった日来れなかった穂刈は
何があったのか聞いていないようだった
でも私達の間に流れる不穏な空気には気づいたのか
あまり追及してくることはなかった
あんな空気にしてカゲウラを出てしまったのだ
気まずい空気が流れるのもしかたがなかった
そんな中声をかけることも
かけられることも出来る訳がない
「結城、ほら」
ボーダーの訓練室に迅さんと入る前
軽く投げられたそれを手でキャッチした
『迅さん、これ……』
私や迅さんの使う黒いトリガーとは違う
ナイルブルーのノーマルトリガー
この前出水と話したことが脳内で再生された
「トリガーセットして使ってみなよ」
訓練室を見てくれている宇佐美さんのところへと行き
迅さんと3人
ポジションを選びトリガー構成を考えた
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作者名:lei | 作成日時:2023年9月15日 23時