夜明けが希望でありますように (ページ28)

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いつだって後悔してるページ28

7月に入りランク戦も勢いを増していた
徐々に強くなる相手に敗北する人もいたけど
生駒隊は順調にポイントを稼いでいた
たまに迅さんと共にB級ランク戦を観戦し
学校では考えられないほど動き回る水上を眺めていた
防衛任務が多く毎回見られるわけではないけれど
生駒隊の闘いは見ていて楽しかった
フリートリガーを使う隊員は
みんな似たように見えるけど
それぞれ違うスタイルで闘い方があった
出水の言う通りもし私がフリートリガーを使ったら
今よりも強くなるのだろうか
トリオン量があれば威力は確実に上がる
それが無くなったとしても
私ならノーマルトリガーで十分闘える
しかし風刃のように適合者が多ければ良かったのだけど
このブラックトリガーは私にしか使えない
貴重なブラックトリガーを
誰も使わないでいるのは勿体無いだろう

『迅さんはノーマルトリガー使っても強いよね』

隣でランク戦を見る迅さんは1度だけチラリと見てから
「まぁそうだな」とモニターを見ながら言った

「お前だけが使えるブラックトリガーだ
　何を選んでもお前の自由なんだ
　沢山悩めよ」

使うなとも使えとも言わない迅さんは私に選ばせる
誰かの意思ではなく自分で選ぶという大事なことを
迅さんに背負わせようとしている自分が嫌になる

モニターに生駒さんの生駒旋空が映し出され
その後ろにいる水上はキューブを浮かべ
屋根の上から見下ろす瞳が鋭く見えた

18時になっても7月はまだ明るい
カゲウラと書かれた暖簾が見えた
3日前村上から今日の18時にカゲウラ集合という
メッセージが送られてきた
そして昨日は犬飼から参加するの？と
メッセージが来ていた
来れない人もいるようで水上の言う通り
全員来ることは無理な話しだった

お店の外まで騒ぐ声が聞こえてきた
店内は寒いと思い薄い上着を羽織って扉を開けた

「おう、来たか。おい、ゾエ！」

入ってすぐに目のあった影浦は
忙しなく店内を歩き回っていて
常連の人なのか文句を言いながらも
ジョッキやお皿を運んでいた
1番奥から顔を出した北添は
「雨宮ちゃん」と呼び手招きした
そこまで行けば既に2席分埋まっていて
右側の席から声をかけられた
「ここ座りなよ」と指差す犬飼に
『ありがとう』と言って隣に座った
前の席には当間と水上が座り
お店の手伝いを終えたのか影浦が水上の隣に座った