夜明けが希望でありますように (ページ24)

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勘違いだけはしないページ24

明日の放課後に頼む
他のクラスの奴にも数人声かけてるからな
そう言われて明日の放課後は
プール掃除に勤しむことになった
せっかくの休暇だから寝たいと言えば
引き受けることもなかったのかもしれないが
今更引き返すことなんてできない

教室を出てから特に行くところもなく
職員室に自ら赴きプール掃除の詳細を聞きに行った
暇になったなと思いどこに行こうかと考えても
浮かぶものなんて何もなかった

「あ、雨宮先輩」

声の方へ向けば出水と米屋君、その後ろには烏丸君もいた
ほぼ初対面の2人は一応私の存在は知っているのか
米屋君は「どうも」と言って烏丸君は軽く頭を下げた
反射的に私も軽く会釈をして
『初めまして、かな？』と返した

「あれからどうスか？」

『うーん…あんまり変わってないかも
　時間取って貰ったのにごめんね』

「それは全然良いんですけど…」

私のブラックトリガーは
使い方によっては盾にも矛にもなる
しかしその分扱いが難しい
要領はシュータートリガーと
変わらないのではないかという迅さんの言葉を聞き
出水に手合わせしてもらったことがあった
アドバイスも一応貰ったが
感覚派の彼は言葉で説明するのは苦手だと言っていた

『やっぱり難しいね
　シューターみたいな使い方しかまだできなくて
　これだとノーマルトリガーと変わらないね…』

自分で言っておいて情けなくなり
自らダメージを負ってしまった
出水のような才能のある人が使えれば
もっと違ったのだろうと嫌な方へと思考が変わっていく
しかし出水は閃いたように
「あ、それ良いんじゃないスか？」と言った

『え、なにが？』

「試しにノーマルトリガー使ってみたら
　良いんじゃないかなって
　雨宮先輩のSEはどのトリガーとも相性良さそうだし
　なんのポジションでも引っ張りだこでしょ」

「まぁSE使いすぎると大変なことなると思うけど」
そう言った出水の声と同時に予鈴が鳴った
動き出す生徒と同じように「んじゃ、また」と言って
軽く手を上げる出水に
『あ、うん。ありがとう』と返した

ノーマルトリガーなんて考えたことがなかった
使うなんて選択肢の中には無かったし
それを勧められたこともなかった

"雨宮先輩のSEはどのトリガーとも相性良さそう"

しかしその言葉は案外的を得たことだと思った
私のSEは訓練すれば迅さんのように
先を見ることも可能になるかもしれない
そうなればこのブラックトリガーを
宝の持ち腐れだと思わない日が来るかもしれない