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教室の扉を開けば4限の授業の中盤あたりだった
クラス中からの視線を受けながら黒板に立つ先生に
軽く頭を下げれば「席について」と言われ
自分の席に座った
隣から向けられる視線に『授業中だよ』と笑った
「今日任務だったのか?」
4限が終わってすぐ振り向いた村上は
「大変そうだな」と言ってペンケースを机の中に入れた
『大変なのは村上達のほうだよ、ランク戦どうなの?』
村上ってたまに痛いとこ突いてくるんだよなと思って
話を逸らした
それに気付いたのか影浦は眉を寄せた
「順調に決まってんだろ、なぁ鋼」
「まぁまだ始まったばかりだからな」
「んで、お前はなんで遅刻したんだよ」
『いやぁ、寝坊しちゃった』
そうヘラリと笑って言えば
少しはマシに聞こえるかなと思ったけど
逆に「あ"?」と睨まれてしまった
ここでゆっくりしていたい気持ちは山々だが
もうすぐあの子がこの教室に来るのだろう
そう思って立ち上がり
『先生に呼ばれてるんだよね』と嘘をついた
後ろを向いた時に水上と目があって
真っ直ぐに見てくるその目にニコリと微笑めば
視線を鋭くして逸らされた
ガラリと教室の扉が開く音がして
ゆっくりしすぎたなと思いそちらを向けば
今日は1人ではなかった
1人の子が水上へと向かっていき
「先輩起きてくださいー!」と肩を揺らせば
水上も驚いたのか「なんでおるん」と目を見開いた
どこかで見たことある顔だと思えば
この前ランク戦ブースで水上と一緒にいた人達だ
同じ隊服を着ていたから
同じ生駒隊なのだろうとは思っていたけど
同じ高校だったとは知らなかった
扉のところにお弁当を持って立つ妹と
もう1人の生駒隊の子に『ちょっとごめんね』と言って
間を通り教室を出た
先生から呼ばれているなんて言ってしまったため
教室にはいられない
どこに行こうかと思えば後ろから
「雨宮」と呼ぶ声が聞こえた
他の人なら聞こえていないふりでもしたのに
本当に男子の中でも少し高い君の声はよく聞こえる
「食べんの?」
さっきまで不機嫌そうにしていたのに
こんなに優しい声で話せるんだと思った
今すぐにでも戻りたい気持ちを抑え込み
『呼ばれてるんだぁ、ありがと!』と笑って返し
すぐにその場から離れた
これ以上ここにいたら本音が溢れてしまう気がした
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作者名:lei | 作成日時:2023年9月15日 23時