二十五 ページ27
Aは死んだ
はずだった。
神威の手は直前で止まる。
神「……はあ。」
神威は
Aの顔に手を近づけ
涙を拭う。
神「そんな不細工な顔するから、殺せないじゃないか。」
「……ヒック」
神「…」
神威はAの体を起こし、
自分の肩へ寄せ、頭を撫でた。
Aは驚く。
「なんで………」
「……俺もよく分からない。けど、多分、
愛してるんじゃないかな。君の事。」
[あ、い、?]
少女は一瞬固まる。
「………愛なんて、簡単に言わないでくださいよ。」
神「簡単にいってると思う?」
「……愛してるなら、こんなぼこぼこにします?」
神「……俺は、大切な人なんて、いても邪魔になるって思ってる。
………でも、君がそれになりつつあることに気づいた。だから、ぼこぼこにしたし、殺す気だったけど、
君の涙を見たら、無理だなぁって。」
「……皆、愛してるって言うだけ言って、離れてく。」
神「離れない。」
「離れる!!
どうせ、離れてくから殺してください。離してください。もう、裏切られたくない…………。」
神「…………そう。」
そう言い、神威はAを肩に担いだ。
そしてAの傘も持っていく。
「…!?」
神威は続ける。
神「そんなの、俺の知ったことじゃない。
それに君、言ったよね。殺すなり煮るなり好きにしろって。
だから、俺の好きにさせてもらうよ。」
そして、神威は
春雨に向かって歩きだす。
「…なにして……」
神「帰るんだよ。一緒に。」
「……私は………」
「……意地張るのも、
人を試すようなことするのも、いい加減やめたら?
…本当は一緒にいたいくせに」
その言葉に、Aは。
「………ヒック」
神「…また泣いてる。」
「だって、…ヒック」
神「うん」
Aはいろんなものが溢れだす。
「いっぱい傷つけて、ごめんなさい」
神「お互い様。」
「試すようなことしてごめんなさい。」
神「別に。」
「…………私から、離れないでください。」
神「…離れない。さっきも言った。二度も言わせるなよ。」
「うぅ………うええーん………」
神「うるさいなぁ。」
少女は、信じてみることにした。
信じたかった。
傘も差さずに、雨に打たれている二人。
どこか、暖かそうだった。
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久しぶりの更新がこれです。
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七海本家 - あんみつさん» コメントありがとうございます!亀更新ですみません(;o;)頑張ります! (2018年11月7日 0時) (レス) id: 1e95f9cc3a (このIDを非表示/違反報告)
あんみつ - 面白いです。続き頑張ってください (2018年11月6日 20時) (レス) id: 6040d243e6 (このIDを非表示/違反報告)
七海本家 - 眠井ねむり。さん» コメントありがとうございます!照れます(●^o^●)続編はまだ書くかは決めてないです。すみません! (2018年10月19日 21時) (レス) id: 1e95f9cc3a (このIDを非表示/違反報告)
眠井ねむり。(プロフ) - 神威ぃぃぃぃ!めちゃめちゃ面白かったです!!続編も楽しみにしています!頑張ってください! (2018年10月15日 10時) (レス) id: 172bd38c03 (このIDを非表示/違反報告)
七海本家 - haruriさん» 超がつくほど嬉しいです(●^o^●)読んでくださりありがとうございました! (2018年10月7日 21時) (レス) id: 1e95f9cc3a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:七海本家 | 作成日時:2018年8月31日 23時