過去（１） ページ9
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六年前。交通事故に遭って両親と姉を失った。
重傷を負いながらも私はただ一人生き残った。病院のベッドで目覚めた時、自分の足がまるで鉛のように重たく感じられたのを覚えている。
腰髄の損傷による両下肢の麻痺。
医師から告げられたそれは、ガツンと脳を揺さぶった。
曰く、運動機能と知覚感覚に障害があるため、脚を思う通りに動かせず、触れても感覚や痛みを感じないのだという。
今までの様に歩くことは難しく、杖を使いながらの歩行は辛うじて出来ることもあるが、速度は遅く、長い距離も歩けないため基本的には車椅子を必要とするものらしい。
当時中学一年生だった。
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退院した後、私は祖母の家に引き取られた。
リハビリの為に通院しながら、しばらく休んでいた学校にも行き始めた。
しかしそこでは誰もに腫れ物の様に扱われ、仲の良かった友達とも話さなくなり、孤立し、それからは日に日に家に籠ることが多くなった。
祖母は、祖父が亡くなってから一人暮らしだったため、家に誰かが居てくれてることが嬉しいと言っていた。
気軽に外出することが難しくなった私は、よく祖母に裁縫を教わっていた。孫と女ふたりもいいものだね、と。
そう笑ってくれた祖母もその二年後、病気で帰らぬ人となった。
私はまた、独りになってしまった。
*
祖母の葬儀のあと、集まった親戚の間では私についての話題でもちきりだった。
足が不自由な未成年の子供を今後どうするのか、誰が引き取るのかで揉めていた。親戚が少なかった訳ではないが、皆それぞれ私を引き取ることが出来ない理由を並べ立てて、遠回しに言うのだ。“面倒だ”と。
それは当時高校生になったばかりの私に容易に理解出来た。
俺が引き取るよ。
六つ年上の従兄弟が名乗り出た。と言っても、彼の一つ年上の妻の方は心から快諾した訳ではないということは、その家で暮らしていくうちに分かることになる。
夫と仲睦まじく二人暮らしを始めたところにいきなり年端もいかない女が一緒に住むとなった時、どのように思うだろう。
彼女は、従兄弟が仕事で不在の間、私に嫌がらせをしてきた。お前は私達の邪魔だとはっきり告げられた。
事故で全てを失い、孤児になってしまった私を匿ってくれている彼らに文句なんてこれっぽっちもありはしない。
こんな厄介な自分が邪魔な存在だということなんて、自分が一番よく分かっている。
だからこそ余計に、彼女のその言葉が酷く胸に突き刺さった。
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近衛（このえ）(プロフ) - ごしえさん» 初めまして、嬉しいコメントありがとうございます(´；ω；`)そう言って頂けると、色々と余計なことを考えずに物事に専念出来そうです。暇な時や私生活が落ち着いた時にぽつぽつ更新していきますので、どうかあたたかく見守ってやってください。ありがとうございました！ (2018年9月14日 8時) (
レス) id: c481c3e57b (このIDを非表示/違反報告)
ごしえ(プロフ) - お初です、失礼します。作者様の作品はお話だけではなく言葉の使い方やシリアスな世界観、夢主やキャラクターの描写がすごく繊細で大好きです。更新は作者様の作品なのですから作者様の無理のないペースで書いてください^ ^レポート頑張って！ (2018年9月13日 12時) (レス) id: 7d39465185 (このIDを非表示/違反報告)
近衛（このえ）(プロフ) - ANAさん» 面白いと言って頂けて嬉しいです！まだ書き始めですが、既に薄暗い要素ばかりになっているのでかなり人を選ぶ内容かと思いますが…。更新頑張ります(*^ω^*) (2018年8月1日 9時) (レス) id: c481c3e57b (このIDを非表示/違反報告)
近衛（このえ）(プロフ) - 戸木さん» 繊細で詩的だなんて……嬉しいコメントありがとうございます(´；ω；`)楽しみにして頂けて光栄です、更新頑張ります(^-^) (2018年8月1日 9時) (レス) id: c481c3e57b (このIDを非表示/違反報告)
ANA - 面白いです！更新頑張ってください！ (2018年8月1日 9時) (レス) id: 759c29c556 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：uuu | 作成日時：2018年7月28日 15時
