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「ありがとうございます?」





「ああ、そう。ありがとうございます」





ユンギさんは少し照れ臭そうに首をかきながら答えた。




気まずい沈黙が生まれる。




「えっと「たばこ、吸ってんの?」





そろそろと言おうとすると、話を途中で区切られた。





「・・・まあ、はい」





「つらい?」





窓の外を眺め、スプーンでコーヒーを混ぜながら言った。





「・・・さあ笑」





眉を下げ、笑いながらそういうと、ごめんとユンギさんはもう一度謝った。





「つらい役目ばっか押し付けたな、」





スプーンを皿の上に置くと、私の頭をポンポンと二回優しく叩いた。





「私がやったことだからっ」





「それでも」





さっきまであんなに気まずかったのに、夕日がさす窓辺で過ごすこの時間が少しだけ心地よく感じた。





「でも、タバコはダメ。つらいなら俺らのとこに来ればいい」





「そんな迷惑かけられないですよ」






「もうだいぶ迷惑かけられてるから、大丈夫」





棘のある言葉なのに、優しく笑いながら言うから、自然と首を縦に振っていた。





「いつでも待ってる。今度はテヒョンじゃなくて、俺らに会いにきて」






「・・・あ、りがとうございます」





それじゃ行くか、と先に席を立ったユンギさんはスマートに会計を済ました。






「悪いです、自分の分は自分で払います」






「迷惑かけるんでしょ、ならここは俺に出させて」





ちゃりんという鈴の音を鳴らし、ユンギさんは1人で外に出た。






「・・・あんなにスマートな会計初めて見ました」






「なにそれ笑」





「ユンギさん、そんな風に笑えるんですね」




「舐めてる?」





「いや、いつもムスッとしてるから」





「Aって、たまにぐさっと刺してくるよね」





ふと呼び捨てで呼ばれた名前にドキッとする。





「ユンギさんは好きな人とかいないんですか?」





自分でもよくわからないタイミングで変な質問をしてしまった。





「あ、ごめんなさい。特に意味はないんです」





「別にいいよ。好きな人か」





「そんな深く考えないでください」





「好きねえ。よくわからないけど、A見てたら恋も悪くないって思えてきたよ」





「それは、」





「誰かにこんなに好きでいてもらえるなんて、幸せでしょ?




だからテヒョンはやっぱ幸せだよ」




もしそれが本当なら、私もすごく幸せだと、心の底から思った。

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(プロフ) - alexandrite_bbcさん» なんでいつもそんなに嬉しいこと言ってくれるんですか!笑 本当にありがとうございます! (2018年2月18日 0時) (レス) id: a074edcd70 (このIDを非表示/違反報告)
alexandrite_bbc(プロフ) - ●さん» じっくり読み返してつくづく思ったのですが、このお話、本当に名作だと私は思っています^^私、twitterでも占ツクでもかなりの数のお話を読んでますが、本当に素晴らしい作品だと思っていますのでこれからもじっくり読ませていただきますね^^ (2018年2月16日 16時) (レス) id: 35241c8ff2 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - alexandrite_bbcさん» いつも本当にありがとうございます!少し物語をサラサラ〜と進めすぎた感じが否めませんが、ここからどうにか頑張ります 笑! (2018年2月16日 14時) (レス) id: a074edcd70 (このIDを非表示/違反報告)
alexandrite_bbc(プロフ) - 1から読み返して来ました^^テテ、どうなるのかな?更新とても楽しみに待っております^^ (2018年2月16日 12時) (レス) id: 35241c8ff2 (このIDを非表示/違反報告)
alexandrite_bbc(プロフ) - 胸がぎゅっと苦しいのがずっと続いてます( ;∀;)はぁ...どうなるのかな…更新楽しみに待っております!! (2017年12月10日 6時) (レス) id: 1a1f2fe310 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2017年12月3日 20時

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