23 ページ23
.
「なるほど…剥がせということか…」
キロランケは、白石の入れ墨を見た瞬間にその事実に気がつく。そして白石の正中線を指でなぞった。
「こんな真似が出来る人はあの人しかいない…」
そう呟いたキロランケは杉元に振り返った。
杉元はキロランケの一挙一動を警戒してじっと見つめる。
「他にも入れ墨はあるのか？」
「無い」
杉元は間髪入れずに答えた。
その時、ようやく杉元の思惑を理解する。
白石の入れ墨を見せることで信頼を得て、
のっぺらぼうのさらなる情報を求めているのだろう。
蚊帳の外の私達は固唾を飲んで2人を見つめる。
「アシリパさんの父親と日本に来たんだろ？ならアンタしか知らないのっぺらぼうの情報があるはずだ」
そう杉元が言うと、キロランケは小さく息を吐いて、
丸木船に乗り込んだ。
そしてこちらに振り返る。
「今日は俺の家に泊まっていけ。
川を少し下れば村につく」
私達はお互い目を合わせて、頷いた。
そして順番に船に乗り込んだ。
*
少し川で揺られれば、すぐに村に辿り着いた。
キロランケは私達を家に泊めてくれるそうだ。
彼に促されるままに家に足を踏み入れると、
途端に駆け寄ってくる1人の男の子。
彼は私と杉元を指差した。
「シンナキサラ！」
『しんなきさら？』
「変な耳って意味だ。Aは柔道耳だからな」
すぐ後ろに立っていた杉元が解説をする。
私は感心した声を出して、男の子を抱き上げた。
そのまま部屋に上がり込む。
「俺の家族だ」
『顔が似ている訳では無いけど…弟を思い出す』
私は男の子を自身の膝に下ろして、目を合わせる。
男の子は不思議そうに首を傾げた。
そんな様子に、目を細めて笑う。
その時、キロランケが声を出した。
「あの人がアイヌの金塊を奪ったこと。
同じ国から来た人間として責任を感じる」
男の子を膝から下ろして、私は姿勢を直し
キロランケに向き直った。
他の3人も同じように彼を見つめる。
「お前達が相応の取り分を望むのは構わない。
だが、残りはアイヌに返すべきだ」
キロランケも、姿勢を正す。
そして、真っ直ぐな目で私達を見つめた。
「俺はそれを最後まで見届けたい」
その言葉を言った後、彼はアシリパをちらりと見た。
アシリパも同じように決意の籠った目で見つめ返す。
私はそんな二人の様子を黙って見つめていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 67人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
セミ⭐︎ - 月島ァン“！！ (4月27日 19時) (
レス) @page42 id: 6201ff5e9e (このIDを非表示/違反報告)
セミ⭐︎ - ゲンジロウちゃん可愛いですよねぇ、「上手く、踊れない、ブヒィッ！」が好きすぎてもう1日に最低一回は見ていますw (4月23日 17時) (レス) @page37 id: 1c9608ec9f (このIDを非表示/違反報告)
作者 - セミ⭐︎さん» 本当にお待たせしました…！今後は更新頑張りますね！！自分の推しキャラは谷垣と杉元と月島です。早く谷垣を踊らせたいです^^ (4月22日 16時) (レス) id: f336fb7281 (このIDを非表示/違反報告)
セミ⭐︎ - ぬおぉ！更新ありがとうございます！ずっと待ち侘びておりました！すぎもっちゃん、夢主ちゃん、､､､ぐへへへh、ン“ん、すいません尊すぎてつい、作者様の推しキャラはおりますか？自分は複数人いるのですが杉元、尾形、月島が好きでございます (4月22日 15時) (レス) @page36 id: d5e2d1caf3 (このIDを非表示/違反報告)
セミ⭐︎ - 作者様、大丈夫ですか？無礼は承知なのですが、続きが欲しいです。こんな気になるとことで終わられては、夜も寝れません！何かあるのでしたらご報告お願いします。更新できなくなってしまったなど、何かお願いします (4月12日 22時) (レス) id: d5e2d1caf3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：眠いです。 | 作成日時：2024年3月21日 0時
