19.キロランケニシパ ページ19
.
私の横から川に飛び込んだ男は、
白石を食べているイトウに小刀を突き刺し、
そのまま、暴れるイトウを振り上げて陸にあげた。
呆気にとられていた私達は、
慌てて打ち上げられたイトウと白石の元へ行く。
『これは…』
白石は下半身をイトウに噛み付かれたままだった。
つまり、上半身が人間で下半身が魚。
杉元が貴婦人のように口に手を当てる。
「人魚だ……」
『うん、人魚だ…』
坊主頭の特に美しくもない人魚をなんとも言えない感情で見つめていると、先程の男が水辺から上がってきた。
その男の顔を見たアシリパは、目を見開く。
「キロランケニシパ！」
「アシリパか！」
キロランケと呼ばれた男は、
濡れた髪をかきあげてこちらに振り返る。
彼は、アシリパの父の友人らしい。
「アシリパ、待ってたぞ」
「え？」
キロランケの言葉にアシリパが首を傾げる。
私はそんな2人の会話の間に入った。
『一先ず、火を起こしませんか？
そこの溺れた人魚も震えてるし』
「人魚…あぁ、たしかにな！火を起こそう！」
私が溺れた人魚。もとい白石を指差すと、キロランケはふっと鼻で笑って火を起こす準備を始めた。
*
『｢｢｢いただきまーす｣｣｣』
杉元。アシリパ。私。白石の順で横に並び、
目の前の大きなイトウにかぶりつく。
口いっぱいに弾力のある肉が広がり、
あまりの美味しさに頬を緩ませながら咀嚼する。
その時、白石が私の食べた跡を指差してくすくすと笑った。
『…なに』
「いやぁAちゃんってば…お口が小さいねぇ？
すんごく…っふ、可愛いね(笑)」
白石の魂胆は丸分かりだった。
先程、『溺れた人魚』と散々白石を馬鹿にした私に
少しでも仕返しをしてやりたいんだろう。
私は、呆れたようにため息をつく。
私にそんな程度の低い煽りが効くわけないだろう？
『全く…白石は…』
「(Aちゃんって煽り効かないタイプ？)」
白石が、Aに仕返しするのを諦めかけた時。
私はすっと立ち上がった。
そして白石の坊主頭を片手で掴んだ。
白石は「へ？｣と間抜けな声を出しながら、
恐る恐る私を見上げる。
『この可愛いお口でテメェの頭噛み砕いてやる』
そこには額に青筋を浮かべ、大口を開けるAが居た。
「めっちゃ煽り効いてるじゃん！！！
いやぁぁぁ助けてアシリパちゃぁぁぁぁん！！」
「いいぞA！もっとやれー！」
「やっちまえAー！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 67人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
セミ⭐︎ - 月島ァン“！！ (4月27日 19時) (
レス) @page42 id: 6201ff5e9e (このIDを非表示/違反報告)
セミ⭐︎ - ゲンジロウちゃん可愛いですよねぇ、「上手く、踊れない、ブヒィッ！」が好きすぎてもう1日に最低一回は見ていますw (4月23日 17時) (レス) @page37 id: 1c9608ec9f (このIDを非表示/違反報告)
作者 - セミ⭐︎さん» 本当にお待たせしました…！今後は更新頑張りますね！！自分の推しキャラは谷垣と杉元と月島です。早く谷垣を踊らせたいです^^ (4月22日 16時) (レス) id: f336fb7281 (このIDを非表示/違反報告)
セミ⭐︎ - ぬおぉ！更新ありがとうございます！ずっと待ち侘びておりました！すぎもっちゃん、夢主ちゃん、､､､ぐへへへh、ン“ん、すいません尊すぎてつい、作者様の推しキャラはおりますか？自分は複数人いるのですが杉元、尾形、月島が好きでございます (4月22日 15時) (レス) @page36 id: d5e2d1caf3 (このIDを非表示/違反報告)
セミ⭐︎ - 作者様、大丈夫ですか？無礼は承知なのですが、続きが欲しいです。こんな気になるとことで終わられては、夜も寝れません！何かあるのでしたらご報告お願いします。更新できなくなってしまったなど、何かお願いします (4月12日 22時) (レス) id: d5e2d1caf3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：眠いです。 | 作成日時：2024年3月21日 0時
