17.変なお爺さん ページ17
.
「めんこい子じゃのぉ〜！わしの孫と歳も同じくらいじゃ。
抱っこしてもいいかのう？」
「眠いと機嫌悪いですよ？」
杉元の返答にお爺さんは、
ほのぼのと笑いながらアシリパを抱いた。
そして、彼女の薄く開いた目を見つめる。
「綺麗な瞳の色だ。青の中に緑が散っておる。
ロシア人の血が流れているのかな。」
そう言ったお爺さんを白石が見る。と、その瞬間白石は顔を引き攣らせて「ひっ」と声を漏らした。
知り合いなのだろうか。
「同じ目をした知り合いが居る。
彼女の名前は？」
『…アシリパ』
白石の様子を見て、警戒しつつ声を出す。
私の答えにお爺さんは、声のトーンを落とした。
「…和名は？」
『知らない』
ただのお爺さんの可能性も捨てきれないが、
なら白石の様子があまりにもおかしい。
私はキッパリと答える。
お爺さんが、私を見つめる。
私の答えるつもりのない姿勢に対し、
お爺さんは私と視線を外し、杉元の方に目を向けた。
「今にも血が吹き出しそうな顔の傷。
梅戸にも似たような傷があった。」
「ウメド？あんたの友人かい？」
私は二人の会話を静かに聞く。
杉元はとくに警戒もせずに答えた。
「だがその内に秘めた凶暴さは鍬次郎かな｣
そう言うと、お爺さんはアシリパを抱いて
白石の元へ歩いた。そして白石にアシリパを預ける。
その瞬間。
お爺さんが白石になにか耳打ちをしたのが見えた。
咄嗟に立ち上がるが、お爺さんはよちよちと歩いて行ってしまった。今のは見間違えだったか…？
「変な爺さんだったなー」
『うん…』
私は杉元に返事をしつつ、
ぐびぐびとお酒を飲む白石をそっと見つめた。
*
夜が明けて、私達はまた山に戻った。
次の目的地はまだ正確には決まってない。
私の開いた傷も、まだ多少痛みはあれど
歩けないほどのものでは無かった。
「俺達が持っている入れ墨は何人分だっけ？」
「酒で人生が狂ったオッサン
第7師団に頭撃ち抜かれたオッサン
最後の狼を追っていた猟師のオッサン
ニシン場に居た連続殺人事件のオッサン
そして脱獄しては捕まるドジなオッサン」
『5人のオッサンか』
白石が丸太の上を歩くのを、3人で見守る。
渡りきったと私達が目を離した瞬間に
白石は雪で滑って転んだ。
私はドジなオッサンに手を貸す。
「鶴見中尉は白石が見た1枚しか持ってないのか？」
『私が知ってるのは1枚だけど…
あの人の事は何も信用しない方が良い』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 67人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
セミ⭐︎ - 月島ァン“！！ (4月27日 19時) (
レス) @page42 id: 6201ff5e9e (このIDを非表示/違反報告)
セミ⭐︎ - ゲンジロウちゃん可愛いですよねぇ、「上手く、踊れない、ブヒィッ！」が好きすぎてもう1日に最低一回は見ていますw (4月23日 17時) (レス) @page37 id: 1c9608ec9f (このIDを非表示/違反報告)
作者 - セミ⭐︎さん» 本当にお待たせしました…！今後は更新頑張りますね！！自分の推しキャラは谷垣と杉元と月島です。早く谷垣を踊らせたいです^^ (4月22日 16時) (レス) id: f336fb7281 (このIDを非表示/違反報告)
セミ⭐︎ - ぬおぉ！更新ありがとうございます！ずっと待ち侘びておりました！すぎもっちゃん、夢主ちゃん、､､､ぐへへへh、ン“ん、すいません尊すぎてつい、作者様の推しキャラはおりますか？自分は複数人いるのですが杉元、尾形、月島が好きでございます (4月22日 15時) (レス) @page36 id: d5e2d1caf3 (このIDを非表示/違反報告)
セミ⭐︎ - 作者様、大丈夫ですか？無礼は承知なのですが、続きが欲しいです。こんな気になるとことで終わられては、夜も寝れません！何かあるのでしたらご報告お願いします。更新できなくなってしまったなど、何かお願いします (4月12日 22時) (レス) id: d5e2d1caf3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：眠いです。 | 作成日時：2024年3月21日 0時
