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グルッペンside
静けさが当たりを包む。それもそうだろう。
トントンもついさっき出ていった。
この部屋には俺一人。
手帳を開く。
今日はもう予定は無い。
しかし、明日からは予定がまた入っていた。
｢今日しかない、か｣
徐に立ち上がり戸棚から箱を取り出す。
城を離れて少しした所に開けた墓地。
ここには殉職した隊員達の墓がある。
普段であればもう少し人並みがあるはずだが、今日はもう閑散としていた。
しかし、一つの影が動いた。
｢……なんだ、先客がいたのか｣
｢なんや、……グルちゃんか｣
振り向いた大先生は少しだけ笑みを浮かべた。
雨が降りそうな、少しだけ湿り気のある空気。
あの時を、再び匂わせるような、重たい空気。
そして、あの時と同じ、並び方。
あの時と違うのは、雨が降り始めていないこと。
｢……なぁ、大先生｣
｢ん？｣
｢………………いつを最後にした？｣
ふと、疑問に思ったこと。
しかし、それは重要さを感じさせるもの。
｢グルちゃん。……それを聞いて、どうするん？｣
弧を描いて、煙を吐いた。
あの時の面影すらない。
以前は、この時期になるとどこか儚くて、後を追ってしまいそうな雰囲気を醸し出していた。
本人は意識していたかは分からないが、空元気でどうも調子がおかしかった。
しかし、今はどうだ。
寂しさ、なんて言葉は似つかわしくない。
むしろ_______________。
｢今、何を思っているんだ？｣
｢……考えてみ。グルちゃん得意やろ、人心掌握と同じや｣
そう紡いだ。楽しそうに、笑った。
｢なるほどな。……俺に敵対心を見せるか｣
｢敵対心やないで。ただの挑戦や｣
そういうの好きやろ？と。
｢…そうだな｣
｢僕もう行くわ。……頑張ってな、｣
_______________総統様。
声が重なった気がした。
相変わらず読めない。
読めないからこそ、分かりやすいのかもしれない。
｢一体、何を見ているんだ？｣
細められたその眼には何を映しているのか。
何を感じているのだろうか。
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秋扇(プロフ) - あっぷぅティーさん» そのように褒めていただけて嬉しい限りです…！ 今後ともお楽しみいただけますよう精進致します、ありがとうございます…！ (2021年2月7日 16時) (
レス) id: a73cd4cc12 (このIDを非表示/違反報告)
あっぷぅティー - 豊かな言葉遣いと重厚なストーリーに圧倒されてしまいました！まるで一冊の秀抜なミステリー小説を読んでいるようでした…。新参者ですが続編も応援させていただきます！ (2021年2月5日 22時) (レス) id: 9e25397495 (このIDを非表示/違反報告)
秋扇(プロフ) - クノラさん» ありがとうございます…、また何か問題等ありましたらご指摘いただけると助かります…！ (2020年9月10日 21時) (レス) id: a73cd4cc12 (このIDを非表示/違反報告)
クノラ - 秋扇さん» いえいえ、気づけたのでしたら何よりです。無理しない程度に頑張ってください....汗 (2020年9月10日 12時) (レス) id: ae6f6e8b65 (このIDを非表示/違反報告)
枯渇(プロフ) - いいえ、お疲れ様です。ありがとうございました。 (2020年9月10日 6時) (レス) id: cb6a865d2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：秋扇 | 作者ホームページ：https://odaibako.net/u/sasamegoto0401
作成日時：2020年8月23日 22時
