- ページ31
なぁ…答えてや、と初めて見た時のあの恐ろしい姿からは全く想像のつかなかったであろう、弱々しい姿。
手が震える。
この震えが、私のものなのか彼のものなのか分からない。
だんだん力が強くなっていく。
骨が軋むような感覚。
｢痛い…、やめて、｣
そして、小さく話し始めた。
｢俺な、ずっと我慢しとってん。あいつらといる時も、すぐに全員を殺せたんやで。でも全員殺すのは止めたんや。…でもな、我慢しとっても、Aは愛してくれへん。ずっと、ずっと、俺ばっかり我慢して…なんで俺らじゃダメなん？あいつらより大事にできるで？守ってあげられるんやで？なぁ、｣
_______________どうしたら俺を愛してくれるん？
震えた声で、縋るように抱きしめられる。
｢え、｣
｢帰る手段をなくせばいい？あいつらを殺せばいい？誰もいなくなれば、ここにいるしか無くなるもんな。でもな、Aを傷つけたい訳やないねん。そんな事したら嫌われるのは分かっとるんやで。でも、そうするしか方法が思いつかんのや、なぁ、教えてくれへん？俺は、｣
何をするのが正解なん？と。
私が言葉を挟む間もなく、次々と並べられる悲痛な心の声。
｢正直な、最初にロボロに縋ったのも許せてないねん。シッマがこんなに跡をつけたのも。全部、俺が最初じゃなかった。俺は一番になりたい。Aの特別になりたいんや。どうしたらいい？｣
そう、言葉を並べる。
その姿は、とても小さくて、寂しかった。
その姿は、
昔の自分に、よく似ているものだった。
ただ、愛が、欲しいだけだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 683人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
優兎 - ファァァァァァ!!!!!!!!!(至福のブリッジ) (2021年9月11日 20時) (
レス) id: c9c6e784ca (このIDを非表示/違反報告)
秋扇(プロフ) - おれたぬきさん» コメントありがとうございます…！ 楽しんでいただけているようで何よりでございます、これからもどうぞよろしくお願いします…！ (2020年10月4日 19時) (レス) id: a73cd4cc12 (このIDを非表示/違反報告)
おれたぬき - はぁ…(幸せのため息) (2020年10月4日 19時) (レス) id: 3f15dcefd5 (このIDを非表示/違反報告)
秋扇(プロフ) - 奏さん» 恐縮です…ありがとうございます…！ 今後とも楽しんでいただけたらと思います！ (2020年8月29日 8時) (レス) id: a73cd4cc12 (このIDを非表示/違反報告)
奏(プロフ) - くぁwせdrftgyふじこlpgz4nb旗NASA((((((神すぎて語彙力が亡くなりました (2020年8月29日 8時) (レス) id: 31caf2c9fb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：秋扇 | 作者ホームページ：https://odaibako.net/u/sasamegoto0401
作成日時：2020年8月13日 23時
