独:朝日に向かっておはよう ページ5
「う、うぐぅ…」
痛みで思わず唸る。
どこからか『もう一回、もう一回』とアンコールという名の幻聴が聞こえてくる。これは酷い、医務室に行こうか。
でも、せっかくのチャンスを無駄にはできない。
人が少ない内に、自然な感じでしたい。
二人が話をしている今だからこそ、『おはようございます！あれ？お二人共お早いんですね！』みたいな自然な挨拶ができるはずだ。
「部屋の掃除をするから、暇ならお前も手伝え」
「勿論OKなんだぞ！皆が居心地の良いと思える空間を作るのも、ヒーローの役目だもんな！この俺に任せてくれよ！」
早速顔に引っ付いたままの扉を剥がし、影から出ようとしたが、会話を聞く限りだと今から会議室の掃除をするらしいではないか。これは、『お掃除ですか？私もお手伝いします！』といった方が距離がぐーんと近付く気がする。私は扉を顔に戻して待つことにした。
「俺が道具をとってくるから、抜け駆けしないでくれよな！」
「ああ、待っているからさっさとしろ」
「じゃあ、君が80秒数えている間に取ってくるからね！」
「わかった、わかったから」
「ちゃんと数えててくれよな！いってきまーす！」
そう言い残すと、アルフレッドは光の速さで居なくなってしまう。
戻って来るまでのルートヴィヒさんは何をしているのか、少し覗いてみる。
「5、6、7＿＿」
「おぉ……」
なんてこったい。何故数えるんだルートヴイヒさん。
いけない、ここで話し掛けるのは絶対に駄目だ。
もし、この場で話し掛けたりなんてしたら、彼は恥ずかしい想いをするかもしれない。自分を辱しめた相手と仲良くしたいと考える人は、かなり少ないと思う。
やはり、アルフレッドが戻ってきてからが妥当だろうか。
でも、もう少しだけ、ルートヴィヒさんの珍しい姿を見ていようと思う。
「……ん？」
ふいに、顔に違和感を感じたので両手でペタペタと触ってみる。
まず、頬っぺたが夏の日差しを浴びたアスファルトの様に熱い。あと、鼻が痛くて、何故だか血が出ている。
＿＿血？
「うぇひ？！ち、血ぃ？！」
「うわっ、なんだ？！」
「うぇ……！う、わあぁ！」
私は血というか、体内にあるものが凄く苦手だ。体の中にあるべきものが外に出てしまっていると考えると本当に怖い。
早く取らないと死んでしまうとさえ思う。
取り合えず、扉の影から出るが、
「いたい！」
あまりにも急ぎ過ぎて、扉に額を思い切り打ち付ける。
血に対する恐怖に加え、じんじんとした痛み。
「だ、大丈夫なのか？」
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そら色ぱんだ(プロフ) - イチゴフラペチーノさん» コメントありがとうございます。その言葉を待っていました！後でフェリちゃん視点の話を書く予定ですのでそちらで分かると思います。でもヒントを出すとしたら、フェリちゃんのお願いは絶対叶いますよ。 (2017年8月5日 11時) (
レス) id: a29f2cd473 (このIDを非表示/違反報告)
イチゴフラペチーノ - フェリちゃんが主人公のお話でフェリちゃんとルートが何をお願いしたのか気になります！ (2017年8月5日 0時) (レス) id: e3c16ab556 (このIDを非表示/違反報告)
そら色ぱんだ(プロフ) - 小夜さん» ありがとうございます！その一言でやる気が溢れてきます！ (2017年5月14日 12時) (レス) id: 115534a937 (このIDを非表示/違反報告)
小夜 - とても面白かったです！頑張ってください (2017年5月12日 23時) (レス) id: 1ce20541ad (このIDを非表示/違反報告)
そら色ぱんだ(プロフ) - maoさん» それはよかったです！ありがとうございました！ (2017年4月30日 12時) (レス) id: 115534a937 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そら色ぱんだ | 作成日時：2017年2月19日 3時
