学者様は浸りたい ページ36
『はぁ……』
感情に任せてあんな事を言って、飛び出してきてしまったものの……
普通に私の勘違いじゃないか、何故あの時もっときちんと確認しておかなかったんだろう……
いやでもさ！！？優少年の言い方も回りくどい部分あったと思う！
一概に私だけが悪いとは言えないんじゃない！？
『なんで私こんな事考えてるんだろ……』
一人で勘違いして一人で悩んで、バカみたいだな私……
｢あれ？霧神先輩？どうしてここに……｣
『！ミコ少女』
そっか、そういえばミコ少女はこの辺の見回りしてたんだっけ。
『良かったら見回り代わるよ。ミコ少女もキャンプファイヤー見たいだろ？』
｢いや、でもこの時間では流石に……｣
『優少年がiPad使って撮ってるから、それを見せてもらいなさい。皆喜んでたよ、ミコ少女のおかげだ』
遠慮するミコ少女を説得し、懐中電灯を受け取った。
今はこうして、何か考えてないと恥で壊れてしまいそうだ。
この夜の静けさと、遠くに聴こえてくる喧騒が好きだ。
私によく合っている気がする。
たった一つ見える届きもしない星に手を伸ばして、嘲笑の気持ちも込めて笑顔を作る。
あーあ、あたしも流れ星みたいに…何も考えずに輝いて、すぐに消えて無くなってしまいたい。
｢A先輩！！｣
『っ、優少年…！？』
何故、ここが？
｢もう、探しましたよ……心配させないでください、夜道は危ないんですから｣
せっかく忘れられそうになってたのにさ…
なんでそうやってギリギリの所で引き戻すかな？
なんでそうやって、似つかわしくない優しい笑顔作って私にはにかむのかな？
｢A、先輩……？泣いてるんですか？｣
『キミの、所為だよ……！』
｢僕の！？｣
『キミが、私の気持ち…！弄ぶからだろ！？私、優少年の気持ちに応えようと頑張って色々考えたのに！
どうせ私の事なんて、本心では好きじゃないんだろ！
優少年は優しいから、私がこんなに好きなの知ってて同情で付き合ってるんだろ……』
言いたくない、一番信じたくない事を口に出してしまった。
あー、もう全部嫌だ。優少年は何も悪くない。知らなかったのも仕方無いし、何も悪い事してない。
悪いのは全部私。
｢好きですよ。同情なんかで付き合う程、僕は優しくないですし｣
『そうやって、真顔で言われても信じられる訳無いだろ！』
｢……なら、これで判ります？｣
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作者名：白米 | 作者ホームページ：http://http://uranai.nosv.org/u.php/hp/13ec41960d1/
作成日時：2021年3月15日 16時
