秀知院は奉心祭 ページ26
｢あの、A…先輩……｣
『？遠慮せず、好きな事を言ってくれていいんだよ？優少年。』
現在地・校舎裏。
もう告白は済ませてしまった筈なんだけれど…まさか、今までの事は全部私の妄想だったんじゃ……
だとしたら凄く恥ずかしい事をしている！
｢あのっ！A先輩！……あの…ほ、奉心祭…えとっ、そのですね……｣
言えないんだね！？何かを言おうとしてるけど、言えないんだね！？
あれ、なんか夏休みにもこんな事を考えたような……
｢あの！A先輩！いっしょに、奉心祭…！回りませんか！｣
勇気を振り絞ってくれたのだろう、優少年の顔は真っ赤だ。
『勿論YESだよぉ〜可゛愛゛い゛ね゛優゛少゛年゛！！』
｢うわっちょっ、引っ付かないでくださいよ暑苦しい！｣
優少年の頬にちゅーっと長めの口付けを。勿論唇にはまだしない。
唇は奪うより奪われる方が私としては趣味なのだ。
｢あの、僕の所…お化け屋敷なんですけど、バイノーラル音響っての使ってて……｣
『あぁ、あの立体的に聴こえるやつだろ？』
｢はい。まぁまぁ良いの出来ててですね……良かったら、どうかと……｣
『勿論行かせてもらうよ！』
後でつばめ少女に教えてあげよう！あの子ホラー大好きだからなぁ！
｢……あの、A先輩。｣
『なんだい？』
｢こんな事言ったら…我儘だって、自己中心的だって思われちゃうかもしれないけど……｣
『思わないよ？』
｢A先輩、今…多分、僕以外の人の事考えてた…から、僕の事以外……考えないで欲しい、です……｣
私より背高いのに上目遣いって、テクニカルが過ぎるよ優少年……！
｢はは、流石に独占欲強すぎですかね……A先輩可愛いから、つい心配しちゃうんですけど……すみません。｣
『ぐッはぁッ…！！！』
私は死んだ。正確には、恋人の可愛さによる尊死である。
お化け屋敷でも、優少年は凄く可愛い。
自分のクラスの物だというのに、結構怖がっている。
｢っ割と、り、リアルですね……！僕っ、み、耳弱いのでちょっとリアルすぎるのは…っ！｣
理性理性理性理性理性理性理性理性理性理性！！！！
抑えろ私！襲うな襲うな襲うな襲うな！
優少年と私は、まだ健全でいるんだっ……！！
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作者名：白米 | 作者ホームページ：http://http://uranai.nosv.org/u.php/hp/13ec41960d1/
作成日時：2021年3月15日 16時
