三十八話 ページ39
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｢所で今日、石上は？｣
｢お休みらしいですよ。彼の担任の先生が仰ってました｣
そっか、だから今日は部活で一年生のテンションが上がってたのか……
『石上くん、身体弱いよね……風邪をこじらせないか、心配……』
｢プリント、誰が持って行きますか？｣
｢そりゃもう、この流れで言ったら……｣
｢一人しか居ませんよね……｣
な、何……なんでこっちを見るの……
｢石上くん、多分Aさんの姿を見たら即治ると思うので行ってあげてください｣
『私にそんなパワーが……！？』
そんな魔法を習得した覚えは無いよ！？
｢私が行っても怖がられますし｣
｢私が行ったら追い返されそうですし〜｣
｢俺はバイトがあるし｣
｢綾小路さんしか居ないでしょう｣
う、確かにそう言われると私が適任かも……
けど、この前思いっきり跳ね飛ばしてしまった手前、顔を合わせづらい……
拒絶とかされたらどうしよう……自決しかねないよ？
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『結局来てしまった……』
石上くん家綺麗、外観から清潔感が滲み出てる……ってそうじゃなくて。
うぅ、ごめんね石上くん、私なんかが来ちゃって……会長とかの方が良かったよね……
インターホンを押すのにも抵抗があるよ……
｢はい…どちら様でしょうか｣
落ち着いた女の人の声が聞こえる。
お母様だろうか、お姉様とかは居ないって言ってたし……
『あっ…あのっあのっ、わ、わた…
ゆ、ゆ……優さん…に、お休みしてた間の、じ、授業の…プリントとか、届けに来ました……』
好きな人の親御さんと話すのがこんなにも緊張する事だなんて！
｢あぁ…！息子のご友人でしたか｣
ドアが開き、ほっそりとした女性が出てくる。
あ、細身なのはお母様似なんだ……
きゃー、入っていいのかな！？おうち！？
『は…はは、は…はじめまして、し、秀知院学園高等部、に、にに…2年A組、あ、あや…綾小路Aです……
ゆ、優さんには…いつもお世話に、なっておりまして……』
うぅ、ごめんね石上くん！！しがない先輩で！
『と、突然の事でしたので…て、手土産とか用意出来ず……』
｢あらあら、そんなの構いませんよ。
息子に女の子の友達が出来るとは思っていませんでした、しかもこんな可愛らしい……｣
か、可愛らしいだなんて……！！
このお母様良い人ー！！すっごく良い人ー！！
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作者名：白米 | 作者ホームページ：http://http://uranai.nosv.org/u.php/hp/13ec41960d1/
作成日時：2021年3月10日 23時
