三十一話 ページ32
『石上くん……あそこのファイル、届かない…とって…？』
｢ええ、構いま……！？｣
ぴょんぴょんと飛び跳ねるA先輩の制服のスカートがふわりと舞い上がり……
男子禁制の…童貞が一度は憧れる光景がそこにはあった。
たった一瞬、されど一瞬。僕の瞳は皮肉にも、ソレを脳内に色濃く焼き付けてしまった。
………黒だった、よな……
いやいや！何を考えてるんだ僕！そもそも先輩でこんな事を考えてるのが不純だし、A先輩がまさか黒パ…
『はーやーく……』
再び跳ねるA先輩。
やっぱりだ！！！やっぱり黒だ！！！
A先輩は少なくとも四宮先輩より胸がある。まぁ平均よりは遥かに小さいけど、流石にブラ位してる筈だ。
下が黒って事は、上も……って何を考えてんだ俺！好きな人の下着分析とかキモい、キモすぎる！！
『なんで取ってくれないの……』
むすっと不機嫌そうな顔で言う先輩。
｢僕ちょっと今手が離せないので！かか、会長とかが来たら……｣
『なんで前屈みなの……？』
｢男の生理現象です察してください｣
『トイレ、行きたいの…？』
｢うぁあああ違うけど違わないぃぃぃい｣
『…？息、荒いよ……』
ダメだダメだダメだ！！会長が来るまで黒だとわかった先輩と一緒に居るのは厳しい！
｢遅れた、すまんな皆……って、石上だけか？｣
『むぅ、私も居る……』
｢ハハ、それはすまん。石上に隠れて見えなかった｣
｢よく来てくれました会長本当に貴方はいつも僕の救世主です｣
｢どうした急に｣
A先輩をケーキで釣って向こうへやり、僕は会長の耳に囁いた。
｢その、A先輩の…パ…が、見えてしまって……槍ヶ岳状態なので動けないっす……！！｣
｢ほう……石上もきちんと男の子なんだな。
ふむ、石上がちゃんと綾小路を性の対象として見ている事がわかって少し安心した｣
｢何安心してんですか！？｣
会長はくつくつと愉快そうに笑い、先輩が欲しそうにしていたファイルにいとも容易く手を伸ばした。
『ありがと……石上くんが意地悪して、取ってくれなかった……』
｢いや、それは綾小路への意地悪じゃなくて。逆に、綾小路を守る為の行動だったと言えるぞ。
石上、落ち着いたら綾小路に謝っとけよ｣
｢ハイ……｣
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作者名：白米 | 作者ホームページ：http://http://uranai.nosv.org/u.php/hp/13ec41960d1/
作成日時：2021年3月10日 23時
