三話 ページ4
｢綾小路さん、ケーキ食べます？｣
『ん……ありがと……もらう……』
四宮ちゃんからもらったケーキを口に含む。うん、美味しい。
『石上くん……はい、あーん……』
｢あざす。｣
なんの疑問も持たずに私の口をつけたフォークからケーキを口で受け取る石上くん。
あーやばいこのフォーク持って帰りたい。
藤原ちゃんが駆け寄ってきて、私を部屋の隅に連れて行く。
｢ちょっとちょっとAさん！？今っ、今の間接キスですよね！？
石上くんさも当然かのようにあーん＆間接キスしてましたけど！？｣
『うん……そうだね…私もびっくりしたよ……』
｢いやいやそんなぼーっとしてる場合じゃなくて！！｣
『？……ジップロック持ってきてないから持って帰れないね、このフォーク……』
｢そうでもなくて！！！なんでそんな変態思考なんですか！？｣
『……照れる』
｢褒めてないんだなぁー！？｣
そんなに突っ込まれるとなんだか、藤原ちゃんが常識人かと錯覚する。
『会長……私、手伝う事とかありますか…？』
｢あぁ、綾小路議長。んー、そうだな……石上会計の作業手伝ってやってくれないか。｣
『承知……石上くん…何か、用事あったら言ってね……』
｢今は無いのでいいです。そんな事よりA先輩、ハンドクリーム変えましたか？｣
『よくわかったね……この前まではベリーだったけど、シトラスにしてみた。気に入ってるよ……』
藤原ちゃんと四宮ちゃんが(うわぁ……(引))って眼で石上くんを見てる。
変化に気付いてくれる事は、彼氏としてとても大切な事だと思う。
｢どんなA先輩でも素敵ですけど、僕は前の甘い香りの方が好きです。
なんか、A先輩の雰囲気に合ってるというか。｣
『そう…かな。じゃあ…これはリストラかな……妹ちゃんにあげよう……』
石上くんが気に入ってくれないなら別にいらないや。
｢あっでも、先輩が気に入ってるなら無理に変えなくても……僕はA先輩の意思を尊重します。｣
『ううん。私は…石上くんの観察眼に間違いないと思ってるから、石上くんを信じるよ……』
｢石上くん……日頃から綾小路さんの匂い嗅いでるんですか…？｣
｢！？あっいや、そうではなくてですね！？
ただA先輩はいい匂いだからたまたま意識しちゃうと言いますか！！｣
｢あんま変わってないぞ。｣
『えへへ……いい匂いだって……』
｢Aさんはそれでいいんですか！？｣
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作者名：白米 | 作者ホームページ：http://http://uranai.nosv.org/u.php/hp/13ec41960d1/
作成日時：2021年3月10日 23時
