二十四話 ページ25
『かわっ……』
石上くん、私の事可愛いって……
日常茶飯事なのに、なんだか…なんだか、心臓がぎゅうっと締め付けられる……！！
『今日なんか、石上くんいつもと違う……』
｢さぁ、そんな事ありませんよ？僕はいつもと同じ、A先輩が大好きな石上優です｣
ほらまたそういう事言う……！
『離して…こんなとこ、会長に見られたら……』
｢見られたら、なんですか？〈あぁいつものか〉って流されると思いますけど。
それともなんです？A先輩の頭ん中で、バックハグはどんなえろい体勢になってるんですか？｣
私を離す理由が無くなった石上くんは、どんどん抱き締める力を強める。
それはまるで、獲物を捕まえて離さない、蛇みたいな────────
｢こんにちわー！あー、シャトルラン疲れました〜！｣
｢あぁ、もう二度とやりたくないなあんなのは……綾小路議長、どうした？石上会計の膝の上に座ったりして。
顔が真っ赤だし、お前も体育帰りか？｣
『ちが、これには理由が……』
回らない口で必死に弁解をしようとしたその時。
｢いえ会長、普通に僕のおねだりですよ。A先輩ちっさいので、こうやって抱きしめてると落ち着くんです。
まぁ、A先輩は"何故か"ただの後輩のバックハグに照れてるみたいですけど。｣
｢普通誰でも異性からのハグは照れるだろ……｣
私が寝てる石上くんの腕の中に入ったという事実は綺麗に隠して、石上くんは嘘を並べる。
『石上くん…どうして……』
言っても石上くんに被害は及ばなかったのに。
｢ただの気紛れですよ。
それに、A先輩がただ僕にハグされに行ってるならなんでこんなに強く抱き締めてるんだって話でしょ？｣
…やっぱり、変な所で石上くんは気を遣う。
でも、そんな所が私は好きなのだ。
｢今度はハグ以上キス未満位までイかせて下さいね｣
『…そういうとこ』
｢え、どういう所ですか？｣
そういう、たまに見せるギャップがかっこよすぎて、私はどこまでも君に溺れて行くんだ。
一見普通の人からすると、石上くんの発言はどれもセクハラじみた最低な言葉かもしれない。
でも、普通じゃない私からすれば、どれも最高に効き目のある口説き文句だ。
｢今日も最高に可愛いですよ、A先輩｣
『んー、せんきゅ……』
｢やっぱり照れませんね……｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 70人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白米 | 作者ホームページ：http://http://uranai.nosv.org/u.php/hp/13ec41960d1/
作成日時：2021年3月10日 23時
