二十二話 ページ23
｢｢｢武道大会？｣｣｣
｢ブドウの大食い選手権ですか？｣
『違う……闘う方……うちが、主催してる……』
｢あぁー、そっちの。Aさん出るんですか？｣
『うん…一応、長女だから……』
そう、私の家は自分で言うのもなんだが中々の名家だ。
日本のあらゆる武芸の総本山、武道名門綾小路家。
武術かじってるやつで知らない奴はモグリだ。
｢へぇ、頑張ってください。応援してます、A先輩。｣
優勝するか。
『えへへっ、私が出るの……空手…良かったら、見に来る……？』
｢それは是非！｣
ふふっ、一応私、黒帯だもんね。
『石上くんが応援してくれるなら、頑張る……えへっ、優勝したら…
トロフィー、生徒会室に…飾ってくれる……？』
｢あぁ勿論。喜んで祝福させてもらう。｣
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『ふぅー、すぅー、ふぅー……』
よし、いこう。
観客席で石上くんが見てくれてる。私の活躍、期待してくれてるんだ……
いつも下ろしている髪も、今日はポニーテールにしてる。全ては、石上くんから尊敬されるような先輩像の為……
私は、負ける訳にはいかないのだ。
｢────初めっ！｣
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結論から言うと、私は勝った。
優勝だ。
また、私の肩書きがひとつ増える。
昔から天才児ともてはやされ、家のデッカい道場を継ぐ為に育てられた。
秀知院の大学部を卒業したら、私は直ぐに綾小路家当主として位に着く事になる。
弟が居るけど、正直弟に武芸の才能は無い。
家で一番強くなると予測される私を跡継ぎに据えるのはいい判断だと思う。
私は特に権力だとか家柄だとか、そういうのに頓着無い方だからどっちでもいいけど。
家を長く残す為には、そういう判断せざるを得なかったのだろう。
｢お疲れ様でした、A先輩。いつもは可愛いですけどかっこよかったです。｣
えへっ、私の事かっこいいって……
｢また生徒会室にトロフィーを飾らなきゃですね。｣
『帰り、何かお疲れ様パーティーで……美味しい物…食べに行こう……』
｢いいですね！ファミレスでAさん優勝お祝いパーティでもしますか！｣
｢それもいいかもなぁ。｣
｢僕、賛成です。｣
…
…
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作者名：白米 | 作者ホームページ：http://http://uranai.nosv.org/u.php/hp/13ec41960d1/
作成日時：2021年3月10日 23時
