“元”不登校様は告らせたい【不登校ネタ】 (ページ10)

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五十六話ページ10

｢────────で、本当はどうして怒ってるの？｣

『…………わがままなんです、私。』

｢わがまま？｣

『石上の周りには沢山女の子がいて……
その子と仲良くしてたりすると、胸の辺りがもやっとして……
でも、石上に近付かれたりするとほっぺた熱くなって、避けちゃって……
どうしたらいいか、わかんなくて……』

他の女と仲良くして欲しくないのに、自分が避けてしまう。おかしな話だ。

こんなわがままな私、消えてしまえばいい。

そしたら、ちゃんと石上の眼を見て話せる。告白だって出来るかもしれない。

｢ふふ、私にもあったわ、そんな時期が。大丈夫、安心しなさい。
そういう悩みは時間が解決してくれる。相手の良い所をよく見て、それに集中するの。
そしたら緊張とか無くなって、相手を好きっていう気持ちしか残らなくなる｣

『……副会長が経験したんですか？』

｢ちちっ、違うわ！？ただ、友達の意見を参考にしたまでよ！｣

『でも、今の言い方は明らかに……』

｢違うって言ってるでしょ。私はただ貴方が少しでも楽になればと思って……｣

『……そういう事にしておきますね。うん、なんだかスッキリしました。
私、石上のいい所だけ見つめてみます』

｢頑張ってね。応援してるわ。｣

中庭を後にし、私は石上がいるであろう生徒会室へ向かった。

行く途中、ここ数週間で見慣れた後ろ姿があった。何か、用事があって遅れたらしい。

『石上』

｢！天羽……｣

大丈夫、大丈夫。怖くない。石上の良い所を見つけるの。

しゅっとしたスレンダーな体型、少し着崩した学ラン。細くて艶やかな髪の毛。

引き込まれてしまいそうな蒼い瞳は、私を恋愛対象として認識してくれているかもしれない。

“かもしれない”？良いじゃない、それで。かもしれないんじゃなくて、それで良い。

石上は私を異性として見ている。私が告白すれば、OKしてくれる。自信を持つんだ。

そう、怖くない。私が思ってるより石上は怖くなくて、その分格好良い。

『生徒会室までご一緒しても？』

｢……勿論｣

よしっ、普通に話せたっ！