27 ページ30
うまく説明できないけれど、とにかくサーティーンさんの悲しい顔が見たくないばかりに意味のわからないことを言ってしまった、気がする。
「A」
「はい」
「Aと俺は前からダチじゃなかったのかよ」
「…っえ、」
「俺にこんなことしてきやがって…それなのにダチじゃないなんて」
え?
「境界線引いてるのはAの方じゃねえか」
そう言って背中を向け歩き出す彼の姿を立ち尽くして見ていた。
「…ぅ」
〈彼を意識しないように〉
〈この気持ちに気づかないように〉
膨らんでいく自分の気持ちから背を向けているのは私だった。
私はサーティーンさんにも、他のみんなに対しても砕けた話し方をほとんどしていなかった。
私自身の立場の曖昧さ。
それがいつも胸を引っかからせていたからで。
殊に私は、サーティーンさんと出会ってからずっと心をざわざわさせられっぱなしだった。
彼の不器用な優しさを知って、彼のおどけたような仕草を見て、彼の素顔を見て、
それでも悟りたくなかったのだ。
悟られたくなかったのだ。
サーティーンさんが好きだという事実を。
友人という立場にすら立てているのか怪しくて、ただのヒーローとしてしか思われていなかったらどうしようなんて。
境界線を引いていたのは私だった。
口に含んだすっかり気の抜けたコーラは、ひどくまずかった。
82人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
音割れミズキ(プロフ) - このサーティーンの性格めっちゃ好きです!興奮しながら読んでますwこれからも頑張ってください! (2018年12月19日 19時) (レス) id: 83a17baa85 (このIDを非表示/違反報告)
和式便所(プロフ) - 神では……(感涙) (2018年9月25日 1時) (レス) id: 5371ab6938 (このIDを非表示/違反報告)
咲(プロフ) - ナタデココさん» ナタデココさん→コメントありがとうございます!ゆっくりの更新ではありますが、頑張って書いていきたいです(^ ^)ありがとうございます! (2018年7月18日 21時) (レス) id: fed6d3fe73 (このIDを非表示/違反報告)
ナタデココ - 興奮で言葉がまとまりませんが取り敢えずこれだけ言わせて下さい。ありがとうございます (2018年7月17日 23時) (レス) id: 785148c0b3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:咲 | 作成日時:2018年4月1日 0時