オーエル3 (ページ42)

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「にのが好きっ....、です...」

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その後うるさいほどに鈴虫の声が耳に入ってきたのは、

スーーーッと私の心臓が通常のリズムに戻っていったからなのか

隣に座るにのがなにも発さなくなったからなのか

「......」、

和「...え?」

「.....好き」

2回目に言った “好き” はなんだかとても悲しかった

この窓は防音なのかな、というほど中の人の声はここに届かなくて

相変わらず元気な鈴虫たちが綺麗なハーモニーを奏でている

和「....ありがと」

「.....」

和「.....ごめん」

わかっていた結果なのに

膝の上に置かれた拳はまたきゅっと反応した

上に重なっていたにのの手が、すーっと離れていく

これが彼の答え

ああ、何か言わなきゃ

にのも私も、気まずくならないようにしなきゃ

考えれば考えるほど頭の中は真っ白になっていく

和「...お前馬鹿だろ」

「っ？！」

和「せっかく元彼忘れたのにさ、」

「....」

和「...振られたら意味ねぇじゃん」

「....にののおかげで忘れられたんだよ」

にのに出逢って

新しい恋をして、

だからあんなに呪縛みたいにまとわりついてた彼の存在を消すことができたの

だからやっぱり私、にのに出逢ったことも、こうして告白できたことも、後悔してない

にのもこういう気持ちだったのかな

「なら振らないでよ」

和「.....」

「ごめんごめん、冗談笑」

和「.......」

「これからも友達として仲良くして」

和「....」

「最後のお願い」

俺の前に出された彼女の細い腕

あたりまえだけど、細い手首とか見るとこいつも女なんだよなって

なんか、今までこいつに感じたことのないような気持ちになった

和「仕方ねえなぁ!」

「うわっ、偉そう！」

あの人もそうだけど、こいつにしたってなんでこの状況で笑えんだろ

女が強いっていうの、あれまじだな

俺なんかよりよっぽど強い

「...じゃ、私先行くね!」

和「...うん」

俺なんかよりよっぽど強くて

そして....

儚い