オーエル3 (ページ32)

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「っ....」

動かない上に力をなくしてしまった私の足はなんて役立たずなんだろう

和「誰でもいいなら.....誰でもいいならさ、」

もう嫌...

今すぐここから逃げたい...

何にも聞きたくないのに....

「......、」

この後耳に入ってしまう言葉を目をぎゅっと瞑って待った

その瞬間

「っ.....」

ライターをぎゅっと強く握っていた右腕を後ろから誰かに引かれ

前を走るその人につられて私の足もやっと動く

え、、、？

「.........」

ザクッ、ザクッ、っと

砂利道の上を駆ける2つの足音

.....だ、誰？

街灯がなくよく分からないその後ろ姿、

、、、え？

「っ、まーくん？」

雅「ハァ、ハァ、」

背中を向けて息を整えるその姿、それは紛れもなくまーくんだ

雅「Aっ」

「まーくん..、なんっ、」

ふぅ、と息を整え私の方を見る彼の名前を呼ぼうとすると、

雅「......」

今度は左腕を正面から引かれ勢いのままに彼の胸に飛び込んだ

そして苦しいくらいにぎゅーーーって抱きしめられる

香水をつけないまーくんからは家で使ってる柔軟剤の匂いがして、なんだかその香りにひどく安心して視界がブワァっと滲んだ

なんで、なんで？

なんでまーくんが？

雅「..ごめん、ごめんね」

「....まーくん..?」

雅「ごめん..俺も聞いちゃった」

「....」

雅「何にも知らなくて俺....ごめん」

なんでまーくんが謝るの？

なんでまーくんがそんなに泣くの？

雅「....Aの馬鹿」

「......?」

雅「もう！ばか！！！泣」

なんか分からないけど、まーくんにつられて私まで馬鹿みたいに涙が溢れた

悲しいのは私なのに！

まーくんが先に泣くのはちょっと許せないけど！泣

ギューーーッと痛いくらいに抱きしめてくれるまーくんの優しさが苦しいくらいに伝わる

ズビズビズビ

「.....ふっ笑」

雅「..う、今笑ったでしょお泣」

豪快にまーくんが鼻をすするから

きっと全然笑う場面じゃないのに、思いのほか私よりも悲しんでくれるまーくんに思わず笑ってしまった

2人してひっどい顔で向き合うと、笑いを堪えずにはいられない

もう、どこまでいい人なの？って

いつか直人さんが言った、一緒にいて安心できる人

私もまーくんみたいな人を好きになれたら、

幸せになれるのかな.......?