オーエル (ページ18)

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あれ、食べないんですか？」

食器を全て洗いゴミをまとめキッチンから出ると、まだカップのアイスの蓋が開いてないままただ座ってる彼

智「ん、食べるかなぁと思って」

テーブルに目をやるとアイスがもう一つ置かれていた

あ、私の分用意してくれたんだ

カップを押すと少しアイスが浮いてくる、程よい溶け具合

cmでよくやってる、食べ頃、のタイミングだ

.......

うーん

待っていてくれたのもアイスを用意してくれたのも嬉しい

が、この沈黙、ただただ気まずい

何か話そう何を話そうか、ぐるぐる考えながら一口また一口とアイスを頬張る

智「、？！」

「っ？」

智「今何時？」

「22時30...」

智「やっべ、、、！」

「えっ？！」

急すぎて全然意味はわからないけど、手を引かれ彼が開けたガラス窓から庭に出た

「何かあるんですか？？」

智「あ、よし星出てる」

「....？」

空を見上げ満足そうな大野さん

智「今日はね、これが見える日なんだって」

見せられたスマホの画面には、

ふたご座流星群、の文字が浮かんでいた

智「いっちゃんに教えてもらったの」

「...いっちゃん」

色々と大野くんの話にはついていくのが大変だけど、要はふたご座流星群が見えるからベランダに出たってことね

んー、都心からじゃ見えない気がするけども....

「何かお願い事するんですか？」

智「うん、する」

「...そっかぁ」

何？と聞けない距離感がなんだかもどかしい

即答だったから、きっと強い望みがあるんだろうな

智「Aはないの？」

「..うーん、願い事かぁ」

大野さんの急な呼び捨てにどきっとした

それがばれないように至って自然に願い事を考えるふりをする

「平和に過ごせますように、かなぁ(笑)」

智「いいねぇ、平和が1番や」

「大野くんってなんか平和そうですよね」

智「なにそれ(笑)」

「んー、居るだけでその場が和む感じ..？」

なにも言わなくても、いるだけでそこには平和な穏やかな時間が流れるような

そんな感じ

彼の茶色い髪がふわーっと風に揺れる

それと同時にまた絵の具見たいな懐かしい匂いと、ミルクみたいな優しい香りがした

智「やっぱ見えねぇか～」

大野くんの横顔、綺麗だな.....

智「ん？」

「あ、いえ！」

ぼーっと見惚れていると急にこっちを見るもんだから焦って目を逸らした