【SLAM DUNK】カフネ前編 (ページ9)

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7.退院ページ9

紅茶が好き

お母さんがよく飲んでたって聞いてから

私も飲み始めたら

いつの間にか癖になったの

……Aside

兄「A、退院の準備できた？」

『うん。でもチャックがうまく閉められない。
　右手使えないと意外と不便だね。』

兄が少しパンパンのボストンバックのチャックをしてくれる。

お風呂も。

左手で箸で食べるのも

時間がかかる。

三井さんにお手紙書こうとしたけど、左手で書いた文字はガタガタで見せれたものじゃないからゴミ箱にポイした。

傘とかも左手だけじゃ閉じるの難しそうだな。

『お兄ちゃん。』
『大学休んで迎えに来てくれてありがとう。』
『お見舞いも来てくれたり、ありがとう。』

兄は大学でもバスケをしている。
練習終わり、面会時間残り僅か、という時間にも入院中に来てくれて。
嬉しかった。

肝心なことを言いたいことを言う時に少し下を向いて固唾を飲む。
私の癖。

『あと骨折してすぐ駆けつけてありがとう。』

『手術した後に、八つ当たりして、ごめんなさい。』

兄「いいよ。」
　

茶化すように言う兄。

兄の器の広さを感じる。

『もう、怒ってもいいのに。』

　

腕にこんな傷がある女、きっと誰にも異性として好かれないだろうな。

消毒の時に見たけど

手術の跡…。

私には悲しいくらい大きくて目を背けた。

もう恋なんてできないだろうな…。

私の夢も…。

やめよ。
暗くなるの。

　

『帰ろ。帰ろ。
　おんぶして。
　小さい頃みたいに。』

兄「ギプスして、どうおんぶするんだよ。
　もうおんぶする歳でもないだろ。」

兄と他愛ない話をしながら帰る。

『ありがとうございます。』

呟くように出た言葉。
兄が？という顔で振り返る。

『お兄ちゃん、いつもありがとう。帰ろ。』

ここ何日か三井さんと話して救われたな

三井さんがドンドン話をしてくれて

聞いていると心が温まったの

話すの楽しかったな

また会えたらいいな

………
Aの『ありがとうございます。』は迎えにきてれた兄、お世話になった病院の方々、三井さん、色々な人への言葉です。
病室を出る前にAの口から自然と呟くように出た言葉です。