【SLAM DUNK】カフネ前編 (ページ5)

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4.出会い④ ページ5

どうか私の願ってる夢が

今の私にも手を振っていて欲しい

次の日、約束通りAは俺の病室にきた。

またポカリと紅茶を持って。

『失礼します。』

「よっ。座れよ。」
「ポカリもサンキュ。」
「今日は金払う。」

『ありがとうございます。失礼します。』
『お金は大丈夫です。いつか何かで返してください。』

「なんだよ、それ」

2人で笑った。

やっぱり

Aは音を鳴らすみたいに笑う。

昨日も感じたけど、Aが笑うと

やっぱり

俺は安らぐ。

「昨日思ったんだけどよ。
　右腕、痛いか？」

『痛むこともありますけど、骨折して、手術するまでの痛みに比べたら全然。』
『ただ、夜とか、ふとした時に痛いな、って感じることはあります。』
『三井さんは？痛みますか？』

「い、痛くねえよ。」
「今は早く治してバスケがしてえ。」
「Aは？治ったら復帰するの？」
「彼氏はいるのか？」

気になった質問はどんどんしたい俺。

『治ったら復帰したいです。』
『彼はいません。』
『でも。』

「あ？好きな人はいるのか？」

間髪入れずに質問。
Aのことが知りたい。

『好きな人はいなくて。』

『でも、ずっと…バスケがしたいです。こうして、何日もバスケから離れたことなかったから。』

『早く、ゴールを決めた時のボールがシュッとする音と、胸がキューっとなる、あの感じを早く味わいたいです。』

『もうバスケが恋しくて。なんだかバスケに恋してるみたいです。』

ボールがゴールに入った時。
俺も好きだな。

「俺も。早くバスケがしたい。」

『頑張って治しましょうね。』

俺はAの頭にポンと手を置く。
いきなりだったか？
Aがビクッと肩を震わす。

「頭触るのイヤか？」

『大丈夫です。ただ、ビックリして。あと大きな手だな、って。お兄ちゃんみたい。』

お兄ちゃん？

目を閉じるA。
なんか懐かれたみたいで、気分が良いな。
目を閉じると人形みたいにフサフサしたまつ毛が目立つ。
整った顔立ちも。
肩下まであるサラサラな髪の毛も。
少し高めの声も。

もっと一緒にいたくなる。

この感覚は始めてだな。

それからは、やっぱり俺の話ばっかりで。

Aは聞けば答えるけど自分から話すタイプではなかった。

ただAに話を聞いてもらう時間は居心地が良かった。