【SLAM DUNK】カフネ前編 (ページ39)

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37.兄妹ページ39

あの日が始めてだった

Aの表情をここまで曇らせたのは

あんな顔

二度とさせてたまるか

中学3年生の秋になる頃、気付いたの。
　

『ねえ、お兄ちゃん。』
『入院の手続きも、手術の時も、お父さん来たんだよね？』

「なんだよ？」

『ねえ。』
『私、お荷物になりたいわけじゃないよ。』

調べてみてわかった。
例外はあるみたいだけど、入院も手術も保証人が必要だ。
お兄ちゃんはまだ高校3年生。
成人してない。

なら。
お見舞いには一回も来てないけど。
お父さんが手続きしにきたんじゃないかな？
って。

彼女さんに、バスケの時間優先して、とか、だらしない、そういう理由で振られたー、ってケラケラ笑って報告してたけど。
オープンだな、って思ってたけど。

本当は、私のこと心配して部活が終わったら帰ってきてくれてて。
シスコン、とか、そういうこと言われたことあるじゃない？
って。

お父さんは出張出張、ってたまーにしか帰ってこないけど。
いざって時には来れる距離に住んでるんじゃないかな？って。

要約に気付いて。
問い詰めた。

「離婚はしてるみたいだけど。違う相手と住んでる。」

やっぱり。

『お兄ちゃんは知ってたの？』
『ねえ、やめてよ。』
『私のこと、優先させないでよ。』
『私、邪魔なら中卒で働くよ？施設入ってもいいよ？』

「邪魔じゃない。」

「ずっと一緒だっただろ。」

「小さい頃から、ずっと一緒にお互いを見て育ってきただろ。」

施設に入れば、性別も年齢も違うから離れるかもしれない。
生活費も学費も出してくれてる。
私立にも行けてる。
知らないフリしたままこのまま青春を謳歌して、大学も出よう。

大人になるまで一緒にいよう。

「母ちゃんいなくなって、ばあちゃんと住めなくなっても。」
「ずっと一緒だっだだろ？」
「俺だって憤りはある。けど、できるだけ未来が明るいって思う方に行こう。」

お兄ちゃんはいつも通りケラケラ笑ってた。

『私にも頼って。』
『もっとしっかりするから、夜遅く帰ってきても大丈夫。』
『お兄ちゃん、ちゃんと自分のこと優先させてね。』

2人で大人になろう。

約束。

兄妹でよかった。

お前は人に嫌われるようなやつじゃない。

悪口も言わないし人のいいところを見つける。

そういうやつだ。

ただなんでお前が、って、そればかり思っていた。