30.辻褄合わせ ページ32
俺の無駄だったと思ってた時間が
俺のなくした辻褄が
お前と再会するための辻褄合わせだとしたら
悪くないと思い始めたんだ
「そろそろ時間も時間だな。」
「んじゃ。帰るか。」
「送ってく。」
Aだから、こんな気持ちになったんだろうな。
Aが俺の中で広がって行く。
今すぐ
抱きしめて
俺の彼女になってほしい
今すぐにはムリだが
大人になったらいつか
もっと違うことも
伝えられるように
これからもっと強くなる
絶対に辿り着いてやる
Aがいれくれたら
できる気がする
やっていける気がする
よし。
もうすぐAの住んでるマンションに着くというところで、俺は告げた。
「好きだ。」
Aの目が見開いて、顔は直ぐに赤く染まった。
それでも、Aは首を横に振ったんだ。
どこか儚げで寂しそうな潤んだ瞳をしていた。
そんな顔させるつもりは微塵もなかったのに。
『ダメです…。』
『せっかく、かっこいいんだから。』
『もっとキレイで性格のいい人と付き合ってください。』
好きになった女が耐えながら泣いてる姿に
生まれて初めて感じる感情があった。
くそ。
諦めてたまるか。
ここで諦めたらAと一緒にいられなくなる。
Aが走ってマンションに向かう。
「明日、こないだの海で待ってる。」
「来るまで待ってるから、必ず来いよ。」
何やってるんだ俺は。
全身が熱くなる。
めちゃくちゃ焦ってる。
心臓の音も聞こえていた。
けど
Aがいいんだ。
Aだけでいいんだ。
どうして。
こんなに好きなのに。
腕の傷を見せて嫌われたら？
それがこんなにも怖いなんて
三井さんを、好きでいてもいいかな
三井さんが、可愛くて守りたいの
三井さんと、いる時間が楽しいの
あんなにかっこいいから
いつか、もういらね、と言われる恐怖に竦む
そういうことが起きない魔法があればいいのに
精一杯、私の精一杯の力であの人を守っていくから
こんな私も、夢を掴もうと手を伸ばしてもいいのかな？
けど、やっぱり私には分不相応な願いなのかな？
どうしたら
三井さんが幸せになれるのかな
どうして
こんなに三井さんが好きなんだろう
眠れないよ
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作者名：うた | 作成日時：2023年7月15日 22時
