【SLAM DUNK】カフネ前編 (ページ26)

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24.山王戦前夜① ページ26

いつもAが怒るのは

誰かのためだ

自分の優先順位が低いAを

俺はなんとかしてやりたい

ずっと

………

夏の夜風に当たって

気持ちを落ち着かせる。

湘北は緒戦の豊玉戦は勝ったみたいで、おめでとう、のメールは送れた。

私たちも1回戦は勝てた。

夜は本当はホテルの前までしかで歩いてはいけない決まり。

だけど、2回戦に向けて、不安な気持ちが抑えきれずに、音楽を聞きながら、ずっと歩いてた。

広島には初めてきたけれど、道は覚えるから大丈夫。

「A。」

なんとなく呼ばれたような気がしたけれど、空耳だと思い前を見て歩いていたら。

後ろから誰かが背後まで来ていて、腕を掴まれて振り返る。

振り向いた時にイヤフォンが取れてしまい反動で機械ごと地面に落ちた。

ビックリしたけど、私、この大きな手、知ってる。

…三井さんだ。

……

『三井さん…。』
『緒戦突破おめでとうございます。』

山王戦の前に、少し外を歩こうと宿の入り口を出たところだった。

ビデオを見た後に、少し散歩しようと、宿の入り口付近の橋の方を見たらAがいたんだ。

見間違うはずがないと思い、急いで追いかけた。

歩いてるAに追いつくのは、容易かった。

山王戦のことしか頭に残っていなかったから
勝ったことを祝ってくれて嬉しい。

「サンキュー。じゃねえよ、んな、ことはいい。」
「それより何やってんだよ？もう夜だぞ？」
「さっき電話したのによ。」

『散歩に…。』
『昨日は廊下をぶらぶらしてたんですけど監督が
　シャッキっとせんかー。
　って怒るんです。
　なのでつい外に…。』

相変わらず、Aを相手にすると勢いよく質問をしてしまう。

Aは、いつもと変わらず、あの真っ黒な瞳で俺を見つめてた。

夜でも記憶からわかる。

Aの瞳は真っ黒なんだ。

あの夜、Aは俺と話せてよかった、後からも俺に言ったが。

あの夜に話せてよかったのは俺の方だった。