【SLAM DUNK】カフネ前編 (ページ25)

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23.豊玉戦前夜ページ25

本当は

好きな人に甘えてみたい

でも今の関係がなくなるくらいなら

そんなの嘘だよ、って

そんな風に私の本音に蓋をしておきたいの

　

豊玉戦前夜、赤木が走ってくるって言って。

まだ帰ってこないのか、と言って小暮までいなくなった。

明日の豊玉戦に勝つことを目下の目標にして、眠りにつこうとしていた。

やるしかねえ。

だが、やっぱりAと話したい。

電話をすると、ワンコールでAが電話に出た。

『三井さん。』
『お疲れ様です。
　昼間は色々とありがとうございます。』

Aがこれまで話した中で一番早いテンポで話す。

早口言葉みたいで、思わず吹き出す。

「ぶ。なんだよ。早口言葉みたいな話し方しやがって。
　どーした？笑」

おもしれーやつ。

おかげで
いつもみたく、ガハハハと笑えた。

『変ですよね。
　なんだか緊張してるみたいです。
　落ち着かなくて廊下をぶらぶらしてました。』

『三井さん、お願いがあって…。』

「なんだよ？」

『こないだ、三井さんの拳の中に私のエール送ったの覚えてますか？』

「おう？」

『あれ、私のエール明日から連れてってください。』
『三井さんがケガしないように。
　三井さんがいい試合だった、って思えるように祈ってます。』

『お互い準備してきたもの、きちんと置いてきましょうね。』

「ああ。見せびらかせてやろうぜ。」

一生懸命に応援してくれるAの存在が大きくなる。

自分だって試合前で大変なのによ。

それなのに俺のことも…必死に。

「A。」
「サンキューな。」

「あのさ、今から言うの、変だけどよ、インターハイが終わったら話したいことがあるんだ。」
「時間くれるか？」

こういう時の相手の返事を待つのは、すごく緊張する。

時間が、過ぎるのが遅い。

『はい。』

『ずっと手を握って応援してます。』

そう言ってお互いに

おやすみ

を言い眠ることにした。

俺は夜寝る前にAの声を聞けて、機嫌がよくなった。

週刊誌の評価はひとまず置いといて、寝れそうだ。

Aがいると、俺はやっぱり機嫌がよくなるみたいだ。

これで明日の試合に行ける。

Aの応援が俺を明日へ、押す風になってくれたんだ。